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The Master and Margarita(英題)
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『The Master and Margarita(英題)』に投稿された感想・評価

yoko
3.3
ロシア語はほとんどわからないので、細かいセリフのアレコレは断言できないが、全体として小説版や2005年のドラマ版とはかなり趣が違う印象を受けた。

まず、ВоландやБегемот が登場するまでに時間がかかりすぎる。
これは物語全体のテンポを損ねており、原作の軽妙さや悪魔一行の“カーニバル的な勢い”が薄まってしまっている。

Боланд役の俳優は確かに素晴らしい。(イングロリアスバスターズで酒場で主人公たちを追い詰めるのおじさん)強度や魅力があり、彼が登場するシーンは画面が引き締まる。
しかし、それ以外のキャストは決して悪くはないものの、画面的に地味で、映画のトーンが定まらない。
「ファンタジー大作として見せたいのか?」「文芸映画にしたいのか?」――その中間で揺れているような中途半端さを感じた。

死者たちが蘇る場面にしても、豪華ではあるがサイケデリックさや異様な魔術的陶酔は弱く、
ただ“映画的に派手なシーン”として消費されてしまっている印象。

登場人物の行動も唐突に見える部分が多く、ドラマ版や原作で感じられた必然性・物語の流れが弱まっている。

特に電車に轢かれるシーンは、
「2024年の最新映像作品でこれか」という仕上がりで、かなり厳しいと感じた。

そして最大の問題はбегемот
やはり 2005年ドラマ版のずんぐりむっくりでアイコニックなбегемотがあまりにも強烈で、
2024年版のCG的アプローチはその魅力には到底及ばない。
個性も存在感も弱く、作品の核である“悪魔一党のカーニバル感”が大きく損なわれている。

さらに、ピラトのエピソードやマスターの精神病院でのくだりは、
この映画の流れやテンポの中ではむしろ重く、蛇足に感じられる。
もちろん原作では重要だが、2024年の映画表現でここまで忠実に挟むなら、
むしろ全体をもっと大胆に再構築すべきではなかったか。

むしろ、ここまで思い切ってエンタメとして現代的なリメイクをするなら、
ボランドが“現代世界”に降り立ち、社会を切っていく劇として作り直しても良かったんじゃないか。