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自殺サークルのーのレビュー・感想・評価

自殺サークル(2002年製作の映画)
3.4
『仏教的価値観の否定』
仏教にある「諸法無我」という教えでは、
世の中のあらゆる物は少なからずお互い影響を及ぼし合っていて、そこに自分という主体は存在せず、周りの環境によって"生かされている"存在であり、勝手に死ぬことは許されていない。
この作品の黒幕である宗教組織は、「自殺」という手段でもってこれを真っ向から否定する。彼らは、現代人というものは、身近な他者に限らずアイドルのようなテレビの向こうの象徴的存在やネットの中のような見えない存在との希薄な関係によってかろうじて"生かされている"存在ではなく、自分の身体は自分のものであり、"自分の意思で生きている"という事を「自殺」というある種、逆説的な行為によって証明する。


-90年代後半'00年代前半の空気感が存分に映し出されていて個人的に嬉しかった。
薄暗い新宿駅のホーム、201系中央線、アイドル、ネット
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