Junko

お引越しのJunkoのレビュー・感想・評価

お引越し(1993年製作の映画)
4.5
ずっと気になっていた作品をやっと鑑賞出来た。
両親の別居、離婚に振り回される主人公。
相米監督はとてもよく子供の心情を描いている。
あの年頃の女の子は人によるとは思うが、自分がどうにか出来るかもしれないという気持ちが一番強いんじゃないかな?と思う。
でもまだ子供で幼稚な部分も当たり前に多いから、両親をどうにかする!と思う反面大人ぶってみたり、父親に構って欲しくてちょっかいを出してみたり振り回してみたり…。
母親との関係性もとてもリアル。
お母さんはずっとお母さんなのだけれど、段々と大人なのに何でなの?と反発してしまう年頃。
特に理想の母親像や理想の家庭が変化していくと、父親も母親も人間だから変わっていく。
子供の頃は何で?!何で?!と思う事がよく描かれている。
今考えると、父親も母親もまだこれからの年代なのだ。
その難しい境界線をとてもリアルに描いていて流石だなと思った。
もし子供の頃に見ていたら、私自身自分で自分を励ましてあげられたかもしれない作品だし
大人になった今観ると、子供の頃の自分や両親を振り返って感じる事が出来る。
もっと年を重ねて観たら、
「思い出は片手で数える位でいい」という台詞がより深く分かるだろう。
所々に深い緑の林のワンカットが入るが、あのワンカットが後半への伏線だったのだろか?
水の描写も良かった。

京都の街並み、三角のテーブル、アルコールランプの火、送り火、花火、船幸祭の火、万燈祭の火、奥深い緑、雑木林、琵琶湖…。
相米監督は岩手県出身で北海道育ち、
本籍地は青森県。
今も開催されているかは不明だが、
青森県三戸郡田子町の相米地区では「相米慎二監督映画祭り」が開催されと書かれていた。
東北、北海道の方が撮る「祭り」と「火」は遠く暖かい、夢を見ている様な火の描写が多い気がする。
寺山修司の助監督をしていたからだろうか?
桜田淳子さんも遠野なぎこさんも演技が上手い!

本作品で感じた事を忘れない様にしよう。
Junko

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