Olivia823

独裁者のOlivia823のネタバレレビュー・内容・結末

独裁者(1940年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

現代では、独裁者としてあまりにも悪名高いアドルフ・ヒトラーであるが、彼が生きていた時代、彼の存在は他ならぬ羨望や熱狂の対象であった。そんな彼を、誕生日が僅か4日しか違わない同年代のチャールズ・チャップリンが真っ向から批判した作品である。

作品全体を通して、皮肉と揶揄がとにかく巧妙かつコミカルに描写されていた。ヒンケルは劇的な喋りで毎回のように咳き込み、そうした彼をヴィーナスを含む街中の美術作品までが『ハイル・ヒンケル』ポーズを呈して賛美し、調子に乗ったヒンケルは風船の地球儀を弄び(結局は割れ)、最後にはそんなヒンケルに瓜二つの床屋のチャーリーが独裁者によって支配された世に一喝入れる。締め括りも、希望を感じさせる巧妙なタイミングで行われていてとても良かった。

大変に重いテーマながらも、所々で吉本新喜劇のような笑いネタすら入れてくるチャップリンワールドに大変魅了されてしまった。他の作品もチェックせねば。
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