りほこ

独裁者のりほこのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.5
1940年に、チャップリンは"後世の正論"を唱えていた。ただこの時代では特に、人々の心には響かないものだったのだろう。

ひょんな事から記憶を失った理髪師。帰ってきた街では警察が悪事をはびこり、"ユダヤ人"というレッテルだけで、何故か支配下に置かれている。一方独裁者は、地球を我がものに出来ると、地球儀と一緒に踊る。この2人がそっくりなのが、奇妙でありミソである。
正論を唱え続けた大佐は追われる身となり、文脈を知らず反抗的だと捉えられていた理髪師も同時に追われる身となる。
そして見間違われた彼は、全国民の前で演説する。正論を唱える。
彼自身の言葉なのだとわかる熱意。この言葉はどれだけの人に届いたのだろう。

常識は時代によって変わる。色々な考えを持つ人がいるのは変わらないはずなのに、時代によってその基軸は変わる。時代の常識以上のものを、長い目で機軸を見つけることは可能だろうか。チャップリンには、感じ取れていたのだろうか。この時代のアメリカ人はこれが正論だと知ってる人はどれだけいたのだろう。不思議な気持ちになるなぁ。
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