ハリーが影になる時、ケイトは常に光を浴び、白く輝く。彼女は、天使として生きるほかなかった。
雨の中のハリー、クイズ番組のルーレット、セラピーのサークル、何度か繰り返される人物の周りを回るカメラは、堂々巡りのような生、あるいは輪廻を思わせるイメージ。
流血への恐怖心が、彼女を追い詰める。ケイトが言う「血が盗まれる」というゾッとするような一言。出産シーンでは、全ての痛みが爆発するようで、目を逸らさずにはいられない。
ラスト、生も死も宙吊りのまま、全てが閉じられるとき、初めて授かった娘を見てハリーが呟く"Beautiful"という言葉とともに、私たちもそこにとどまるほかないのだろうか。