荒野の狼

ミスター・ベースボールの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ミスター・ベースボール(1992年製作の映画)
2.7
海外が日本という国を見立てるに『フジヤマ、ゲイシャ』なんて言葉があるが、これを快く思う日本人は一人もいない。なんとも残念な我々に対する侮蔑のニュアンスを、そこに感じるからだ。アチラさんにはそこまでの見くびりはないとは思うが、こういう映画を見せられると、やはりそれを如実に感じざるを得ない。今でこそ大リーグで、本場のプレーヤーを凌ぐほどの選手を輩出するようにはなったものの、多分日本に対する見方は、ほとんど変わっていないだろう。なぜならここに見られる日本人自体が、30年も経つのに全く今と変わっていないからである。というより改めてそれを思い知らされる怖さがこの映画にはあって愕然としてしまうのだ。日本人自(みずから)が劣等民族だとは決して思わないが、野球というアチラのフィールドで比較された場合、やはりチンケな姿は今だってこの通りなんだろう。これを我が身を映す鏡として、目を背けず、しかと自覚すべきだと考える。
余談だが、劇中通訳を買って出ている塩谷俊という役者が、ヤンキーの顔色を伺う前総理の菅さんにそっくりで、思わず御本人ではないかと疑ってしまった。そう思って見ると、更にこの対比(日本と米国の)がリアルになるのであった。かの健さんだって、これが我らの高倉健だと思われたくはない映画である。
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