ネズミツオ

愛と栄光への日々/ライト・オブ・デイのネズミツオのレビュー・感想・評価

4.5
ジョーン・ジェットのスクリーンデビュー作で、マイケル・J・フォックスのウルフカットがめちゃくちゃカッコいい。姉弟で組んだバンド「バー・バスターズ」。マイケルは工場で働きながらプロを目指してバンド活動を続けてるんだけど、我が道を行く頑固な姉と衝突が絶えず、寂しい思いをさせまいと甥っ子ベンジーを優しく励ます弟役に心打たれます。

勿論、ジョーン・ジェットがハスキーヴォイスで歌う本作のために書き下ろされた3曲、"Light of day"、"This means war"、"It's All Coming Down Tonight"は出色の出来栄え。売れないバンドマンが食いっぱぐれてダラダラ過ごす様子とか、子供をダシに万引きしたり夢を追い続けるのはいいけど現実はそう甘くない。

青春時代じゃなきゃ無茶ぶり出来ない煮えたぎる熱い思いだけじゃなく、家族の絆をメインにストーリー展開していくのが他の音楽系ムービーとは一線を画す。若者の心の葛藤を描かせたら右に出る者はない「タクシードライバー」のポール・シュレーダー監督の洞察力が深みを与えたヒューマンドラマに仕上がっています。

父親役に「エクソシスト」のカラス神父ことジェイソン・ミラーや、「遊星からの物体X」でウインドウズを演じたトーマス・G・ウェイツがジョーにゆすりをかける嫌味ったらしい職場の同僚役で出ていたり、確認出来なかったけどマイケル・ルーカーの駆け出し時代出演作でもあるらしい。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマイケル・J・フォックスは地声に自信がないから"ジョニー・B・グッド"を口パクにしてもらったけれど、甥っ子と一緒に「TVを付けて最初に聞いた言葉で歌を作ろう」と即興で演奏する"You Got No Place to Go"はマイケル本人が熱唱している貴重なシーン。病魔に侵された母が娘を受け入れ、また娘も母を受け入れるシーンが泣けます。グレる人にはそれ相応の理由がある。ある程度の年齢になったら憎しみを開放させる柔軟性を身に付けなくては一生後悔する事になる。音楽を通して栄光を勝ち取り自由へ羽ばたくバー・バスターズに幸多かれ!

2017年9月5日(火)
午後のロードショー<1997年6月24日(火)放送>の
録画ビデオで鑑賞。(吹替)
※初見は1991年3月にレンタルビデオで。
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