大木茂

乱の大木茂のレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
3.5
コレは凄いぞ…
「許されざる者」が最後の西部劇だとしたら
この映画こそ最後の時代劇だね


一番ラストに戦の爽快さを全否定する
『何時の世にも繰り返すこの人間の悪行
殺し合わねば生きてゆけぬこの人間の愚かさは神や仏も救うは術はないのだ
泣くなこれが人の世だ
人間は倖せよりも悲しみを安らぎよりも苦しみを追い求めているのだ
人間共がその悲しみと苦しみを奪い合い殺し合って喜んでおるわ』
はシビれたね…

楓の方の狂う女狐や鉄とのやりあい
壊滅的な負けや翻弄される夫とかは「蜘蛛巣城」っぽくもあった

あの劇場アニメを彷彿とさせる人物の最期

そして三本の矢と弓が崩壊する哀れなラストは全て出し切った締め方で奇妙なカタルシスを感じる

あとカラーになって良かったのは巴の戦いになるから分かりやすいってのだね綺麗に色分けされてたり美術に目が行きやすい

ちょっとピーターが出過ぎってのが気になったかな…多分ピエロ的な位置なのかな?

野村武司とか楽しみにしてたのに顔のアップがまったくなかった
てかこの映画は顔の寄りが全然無い笑
宮崎美子とかも絶対顔いるのにない
だけどそれが俯瞰で見せている効果なのかも天視点っていってたし

あの有名なシーンが意外なとこできたからそこからはちょっとダレたけど
やっぱラストで持ち直したわ

にしても黒澤明は馬好き過ぎるでしょ笑

タイトルの「乱」ってのがピッタリだよね
大木茂

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