あやと

スターリングラードのあやとのレビュー・感想・評価

スターリングラード(1993年製作の映画)
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死に対する恐怖と倫理観
戦争においてすべてが曖昧になる、凍った世界で、自分を失い生死すら有耶無耶
仲間がただ大切で、家族が大切で、守るべきものがあるから戦えるのに、それが許されないなら、、?
なんのために戦うのか、なんのために殺すのか

かなり最初の方ややオーバーなコメディ寄りに描かれていたぶん、後半はシリアスで氷のような現実を感じた 戦争と極寒というバランスの良さが痛々しいまでの皮肉

理不尽な縦社会と、それに振り回される彼らにとって、家族、仲間という愛はどう映るんだろうか
生命故に狂おしいほど切望した平穏と愛を諦める、その悲惨な夢物語がかつて現実だったことを、意識し続けなきゃならないね

この作品、戦闘シーンがめちゃくちゃ見もの
廃工場と対戦車ゲリラ作戦は死を背にして、壮絶な上のコマ使いと生きる希望と絶望的な戦況の現実が一堂に会し、ただアクション面やドラマに秀でることなく実直に語る リアリティの目線が鋭い
総じて絶対零度の視線で事実を見つめつつ、それでもその奥底に人間味も感じさせる作品ペーターゼンの Uボートといいドイツ映画恐るべし
あやと

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