どど丼

クルージングのどど丼のレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
3.7
ゲイコミュニティの中で起こった連続殺人の潜入捜査のため、アル・パチーノ演じる刑事が過激な界隈に身を投じていく……という話。ゲイコミュニティへの偏見を助長する等の理由でバッシングを浴び続け、近年ようやくリストア・円盤化されたとの事。結構ちゃんとリマスタリングされていて画質めっちゃ綺麗だった。

制作時期からしてコミュニティ内での差別やHIV流行の色が強かった頃だが、彼らの世界は結構リアルに描かれているし、「真夜中のパーティ」を撮ったフリードキン監督が彼らへの理解を示す向きの作品だった。ただ描写が過激なのと、ゲイカルチャーを知らない人からすればむしろ偏見を助長しそうな程過激であるとは思う。一般映画として公開するには時代が早過ぎたが、当時のゲイカルチャーを窺い知れるという意味で今観るには丁度良い作品かも。

アルパチがゲイの世界を知っていくにつれて自身のアイデンティティが分からなくなっていく展開が結構面白い。ただサスペンスとして見ると少々雑なのと、終盤の展開があまり巧くないのが難点。所謂「CURE」的な締め方なのだが、そこに説得力が無くてB級味が増しちゃってるような感じが笑。それでも観て良かったなと思えるのはこの題材とアル・パチーノのぶっちぎりの哀愁、味があればいいんです。
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