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極彩色肉筆絵巻 座敷牢
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極彩色肉筆絵巻 座敷牢の作品紹介

極彩色肉筆絵巻 座敷牢のあらすじ

少年・左吉は、単眼症に生まれたため、連日激しい差別や暴力に遭い苦しんでいた。 母子家庭の左吉は、母親の呪縛と精神支配、狂信的な愛情の元で育てられていた。 ある日 左吉は、巨大屋敷の半地下の牢屋に幽閉された女性 玲子の存在を知る。 玲子もまた母子家庭で、稀少難治性疾患や、母親や男性達の暴力や虐待で受けた心理的外傷で苦しんでいた。 玲子を幽閉していたのは、霧生の権力者・森田龍之介であった。 左吉は玲子の惨状をみかねて、小柄な身体を利用して牢の鍵を盗み出し、玲子を座敷牢から脱出させることに成功した。 それを知った森田は日本刀を片手に二人を追いかけてきた。必死で逃げる玲子と左吉は、謎の地下迷路の中に入り込んでいた。 左吉と玲子は、数々の逆境に負けず、互いに手を取り合い、蝋燭の灯りと千字文の拓本だけを頼りに暗号を解読、迷路の夜行に挑んだ。 しかし数々の仕掛けを張り巡らせた巨大地下迷路の奥には、世にも恐ろしい地獄が待ち受けていた。

極彩色肉筆絵巻 座敷牢の監督

原田浩

極彩色肉筆絵巻 座敷牢の出演者

金濱夏世

胡舟

早川知余

原題
公式サイト
https://kiryukan.hariko.com/zashikirotopi.htm
製作年
2025年
製作国・地域
日本
上映時間
165分
ジャンル
ホラーアニメ

『極彩色肉筆絵巻 座敷牢』に投稿された感想・評価

アニメ「地下幻橙劇画 少女椿」(1992)を手がけた絵津久秋こと原田浩監督の最新作。同作公開時に予告され33年の歳月をかけて完成させた集大成的な手描きアニメ。商業主義を否定し各映画祭と自主上映会のみで公開。

シネマハウス大塚で鑑賞。4分間の休憩2回を挟む3時間弱の大作。全カット全コマから原田監督の執念と怨念が伝わってきて凄い迫力だった。テーマは監督が高校時代の8ミリ作「限りなき楽園」(1981)から一貫して描き続けてきた反権力・反差別・反イジメ・反戦。弱者を虐げる強者がいる限り戦争はなくならないとの主張が込められ、ガザ地区の街が爆破されるニュース映像も挿入していた。

昭和アナクロな世界観はPFF入選の出世作「二度と目覚めぬ子守唄」(1985)を継承しつつ、「少女椿」の見世物小屋的美学も加わっている。舞台となる霧生(監督の出身地である群馬県・桐生のモジり)と権力者の様相は「犬神家の一族」 (1976)を連想させ、同様な設定の「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(2023)と類似。主人公は「エレファントマン」(1980)と等しく先天的な障害を背負う単眼症の少年・左吉と顔に不治の痣を持つ娘・玲子で、二人を差別し不幸に陥れた“村社会”への恐怖と怨念を、若松孝二的な反権力ルサンチマンと寺山修司的な母親への愛憎を絡ませながら大迫力の“極彩色肉筆絵巻”が展開する。

さらに特徴的な設定が、玲子を座敷牢に監禁している大屋敷「龍神楼」と地下にある巨大なカラクリ迷路。そこには黄金が隠されており、宝のありかを示す暗号が古い石碑に刻まれた数百文字の漢字=「金石文」に潜んでいる。本編では度々おびただしい漢字列が表示され、何とも統合失調的でニューロティックな印象を醸し出していた。

原田監督は小中学校時代に酷いイジメを受け続け毎日が地獄だったと振り返っている。そのトラウマが30年もの間たった一人でコツコツと本作を描き続けた原動力になったのだろう。ちなみに原田監督は1962年生で、同世代のアニメ作家には1960年生の庵野秀明監督がいる。庵野監督がテレビ版「エヴァンゲリオン」(1995)をスタートしてメジャーになり「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(2021)で完結させるまでの間、原田監督は一人で本作を作り続けていたのだ。両者・両作には通底する共通点があり興味深い。それは“生き辛い自分と他者との関り”が大テーマということ。

「エヴァンゲリオン」シリーズの主人公シンジは紆余曲折を経た上で精神的に自立し、他者と折り合いを付けパートナーと手を取り合うまでに成長する。対して本作の左吉も通過儀礼を経て自立へと向かうのだが少々意味合いが違う。左吉の場合は母親や玲子への“依存”から自立し最終的には独りで生きていくことが示される。この違いはそのまま両監督の生き様を反映していると言える。二人が1990年代の“個の時代”にスタートを切ってから30年、庵野監督は変化を遂げてメジャー化し、原田監督は信念を貫き通してマイノリティにある。その信念は呪いのようにも感じられる。

原田監督はベスト映画として「武器なき斗い」(1960:山本薩男監督)を挙げている。戦前に治安維持法に反対し右翼から刺殺された国会議員・山本宣治の実話映画だ。左翼映画としても知られていて、原田監督の反権力・反差別の主張と大いに重なるところがある。しかし気になるのは原田作品の主人公たちは決して連帯を求めようとしないこと。本作の左吉も「二度と目覚めぬ子守唄」の少年“出っ歯”も個的闘争を貫くのだ。その姿勢は足立正生監督が「REVOLUTION+1」(2022)で描いた山上徹也容疑者と重なる。

その思想には賛同できないが共感はできる。「孤立した精鋭が世界を変える」とは若松プロ「天使の恍惚」(1972)で最後に吉沢健が叫ぶ言葉だ。原田監督はアニメという武器で世間に精神的テロを仕掛けているのだ。30年以上をかけて手描きで作られた本作の強度は「かぐや姫の物語」(2013)に勝るとも劣らない。アニメによる空前絶後のアウトサイダーアートとして高く評価したい。

※原田監督は「ドラえもん のび太のパラレル西遊記 」(1988)やテレビアニメ「めぞん一刻」(1986~)などメジャー作品で原画を担当している。メジャーの代表作はメイン監督を務めた「妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-」 (2006)。同作も差別され虐げられた妖怪人間が正義のために戦う話となっている。