バルタサール・コルマウクル監督2作目、裕福な家族の久しぶりの再会が崩壊へ向かう、トマス・ヴィンターベアの「セレブレーション」に似た話だった。
アイスランドアカデミー賞作品賞含む８部門受賞らしい。

水産加工会社を営むソードゥルが、老いや健康問題の他に大企業(外国企業)の進出で先行き不安な会社をどうするかを家族で議論しようと離れて暮らす子供たちを呼び寄せるが…
ソードゥルと一緒に暮らす母は我関せずでたまに鋭い毒舌を吐き、妻は後妻、娘のマリアは明るさの裏に何かありそうな雰囲気。
帰ってきた3人もそれぞれ事情を抱えていて、何がトリガーになるかわからない微妙な緊張感あり。
会社の経営やQuota(漁業割当)、財産の話から、家族の秘密にまで話が飛び、いったん火がついたら止まらない、議論のはずが罵りあい。
冒頭と最後に火が印象的に使われ意味をもっていることもわかる。
燃える炎が表すのは見たままの出来事でもあるが、この家族の関係も象徴しているんだろうな。
それにしても一番の爆弾とも言える秘密、あれは明かす予定だったのか、それとも勢いで明かしてしまったのか。
どっちにしろ、アイデンティティの危機じゃないか。
アウグスト、ラグネハイユル、ハラルドルの三人も相当怒りや落胆がありりだろうけど、マリアが一番ダメージ受けただろうと思う。
そして炎は悪い象徴だけではなく、罪や嘘が燃え尽きたことも表すかも？と思うと最後の姿はポジティブに感じなくもない。