とり

レディホークのとりのレビュー・感想・評価

レディホーク(1985年製作の映画)
4.6
80年代のファンタジー映画。微妙に鳴かず飛ばずな隠れた作品で惜しいんですが、大好きです。
監督も確かな技術を持つリチャード・ドナー。

まずキャストがぴったりはまっていてベスト。一応主役ということになるのかな?マシュー・ブロデリックがケチな泥棒役。どこか憎めないおとぼけキャラの典型で非常にわかりやすい。そして予想通りの動きをするキャラでもあり、ストーリーを引っ張っていく役も担っています。地味だけどかなりいい味付け役として頑張ってると思います。

そして影の主役ともいうべき、おとぎ話に欠かせない美男美女2人。絵に描いたようなカップルなんだけど決して結ばれることのない不幸な2人という、映画を盛り上げるための材料は完璧に揃っています。

美男騎士にルトガー・ハウアー。今じゃすっかり老いぼれじいさんで、私の大好きなクリストファー・ウォーケンと似たりよったり状態になってしまってるのが悲しいところですが、当時のコワモテかっこ良さといったらもう!ですよ。ブレードランナーやヒッチャーで異彩を放ちまくり。(※これを書いた後お亡くなりになりました)
あの冷たい表情になびくマント、剣、そして鷹を腕に乗せて馬にまたがる姿は男女共通の永遠の憧れではないでしょうか!ちょくちょくこの騎馬シーンが登場しますが、もうそれだけでいつまでも見ていたいっす。

美女令嬢役はミシェル・ファイファー。
キャットウーマンも妖艶で美しかったけど、本作では透明感あふれる違った魅力を見せてくれます。映画の登場人物みんなが語っているように本当に見とれてしまいます。傷を負い横になるはかなげな姿とかもう信じられないほど美しゅうございます。
普通、横にゴロンとなったら肉が重力でダランとなったりして変な顔になるけど、彼女に限ってはぜったいにあり得ません!

この美しいカップルに合わせるがごとく背景も雄大でどことなくせつない。昼と夜のはざまの陰影がせつなさを感じさせるのでしょう。
建物はおそらくどこかの古城を使ったのでしょう。セットだとしたら物凄く大掛かりですから。当時の技術を考えるとかなりお金はかかってそうです。CG技術などないに等しい時代ですから、ほぼ全てが手作り。けっこう工夫を凝らした様子が見て取れます。

展開がややもっさりしてるのは今の時代に合ってないだけと許せるんですが、音楽がちょっとまずい。これが一番残念なところです。妙に近代的な機械音で歴史ファンタジーに使う音楽じゃないですね。
多分ヒーロー的な勇ましさを出したかったんだろうなぁと思うけど、もうちょっと荘厳でクラシカルな音の方が良かった。

そして、鳥好きなのでこの映画に出てくる鷹の素晴らしさは、もうそれだけで萌え対象。
よく訓練されていて、やっぱり猛禽はお利口さんだなぁ~と感心することしきり。布に包まれて抱っこされるシーンがあるんですが、こんなことジっと我慢してられるなんて相当優秀な鳥さんでなければムリ!
そしてこの抱きかかえられてる間、ずっと「ぴゃあ!ぴゃあ!」と可愛らしく鳴き続けてて超演技派なんです。ひょっとすると巣立ち直後の若鳥を使ってるんでしょうかね。とにかく可愛いです。欲しい…。

映画のお話に戻して、中盤やや中だるみしなくもないですが、ラストバトルで再び盛り返します。大剣を振り回す大男(ハウアー)のアクションはなかなかの見ごたえ。剣を使わない体術も交えて結構工夫が凝らされたアクション。重量感もしっかりあります。
しかもアクションシーンが長い割に他のシーンも時折織り交ぜてあるのが効果的でドラマチックな感じがします。

美男美女のおとぎ話や動物が好きな人に強くおすすめします!
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