
15年前の夏。少年の花火遊び— 龍之介と拓海の無邪気な火遊びが、隣のアパートを全焼させた。黒焦げの妻を抱えて現れた男・埜本(のもと)。その光景を前に、二人の人生は止まった。やがて— 罪に蓋をし前へ進もうとする龍之介は、アーチェリーのオリンピック日本代表選考に残る強化選手として日々を過ごしていた。一方、過去に取り残されたままの拓海は、いまだ罪の記憶から抜け出せず、陰鬱な日々を送っていた。対照的な二人の前に、あの火傷の男・埜本が再び現れる。ところが彼は、恨みどころか“慈愛”そのもの。優しすぎて、どこか怖いほどに。「君はもう、充分に償ったよ」。不気味なほど優しい埜本の言葉は、いつしか—彼らにとっての“mentor/メンター”(助言者・導き手)となっていく。
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