【女優は美しいが】

シネマヴェーラのピーター・ローレ特集で鑑賞。1941年のモノクロ映画（ポスターはカラーですけど）。

ここではローレは、ハンガリーから希望を抱いてアメリカに移住した若者を演じています。アメリカでカネを稼いで、故郷に残してきたマリアという恋人を呼び寄せよう、というのです。
（ちなみに、ローレもハンガリー出身です。ただしいきなりアメリカに移住したのではなく、ヨーロッパで俳優をしていたものの、ユダヤ人だったのでナチ時代にドイツ語圏から離れて、という経緯が。）

ところが、移住してきたその夜に宿泊したホテルで火災が発生し、彼も大やけどを負います。かろうじて命は助かったものの、顔が焼けて無残な容貌に。そしてその容貌のために、どこも雇用してくれません。
そういうわけで失望した若者はグレてしまい、裏世界で生きる人間たちと交流を持つように。顔のほうは、やがてそれと分からないマスクを表面につけて、いちおう人並みにはなるのですが。

けれども、偶然、若く美しい、しかし盲目の女性と知り合って仲良くなります。盲目にもかかわらずしっかり生きている彼女に感化されて、若者は裏世界から足を洗おうとするものの……

分かりやすい筋書きですが、70分弱という長さのせいもあり、もう少し複雑な展開が欲しいなと思いました。やや単純すぎるのです。

盲目の女性を演じるイヴリン・キースが美しい。今回のシネマヴェーラのピーター・ローレ特集を見て感じたことですが、この頃のハリウッド女優は本当に美人ぞろいですね。最近のアメリカ映画の女優はその点で質が低下していると言わざるを得ない。

ハンガリーから大きな希望を持ってアメリカにやって来た青年が、最初の夜に火事にあい火傷のため顔が醜くなってしまうことから、犯罪に手を染めてゆくという物語。面白かった。主人公に共感できて好きなタイプのストーリー。