佳子

プラトーンの佳子のレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
3.7
「敵は北ベトナムではなく、自分自身だった。」

小学生の頃観たときには、幼なすぎて分からなかった。
麻薬でハイになる男たちや、ベトナム人の青年の足元に機関銃乱射するシーンや、赤いバンダナだけが印象に残っていたが…。

戦っている兵たちはほとんど貧しい家の出、学歴もなくよくて高卒、黒人が多かったというのは考えが及ばなかった現実。
主人公は大学を辞めて、国の為に闘おうとした白人の青年。貧しい家の子だけが戦うのはおかしいという信念のもと志願し、戦地にやって来たのだが、そんな彼を甘ちゃんだ、よっぽど金持ちなんだなと周りは馬鹿にする。

耳や首筋にたかる虫。
重たいからと捨てさせられる防護服の備品。
眠り込んだら突然襲ってくるゲリラ兵。
実際に戦地に派遣されたオリバーストーン監督が描いたリアル。
アメリカで普通の暮らしをしていた若者達が、殺す事、殺される事を強いられる。
いったい何の為、誰の為の闘いなのか。

今日本の若者が同じ様な環境におかれたらどうなのだろう。
大事に大事に育てられ、友達との些細な喧嘩ですら親や教師が解決し、殴られたことも、理不尽な扱いを受けた事もない若者が戦場ではどのような行動をとるのか。

みんなが逃げ出し、誰も責任を取らず、その一方で民間人には武器を向けたりするのではないだろうか。
戦争はいけないが、もし今戦争を仕掛けられたとしたら、日本人は「戦わない」ではなくもう「戦えない」のだろうなぁと最近そんなことを感じる。
国民の義務として徴兵を課している韓国を正しいとは思わないが、彼らはこの映画の若者達くらいのことはやれるのかもしれない。

2021-100
佳子

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