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プラトーンのutakoのネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

マイペースにいろいろ戦争映画を観ていますが、とうとうこの名作にもチャレンジ。

オリバー・ストーン監督自身の戦争体験を元に製作された、アメリカ兵視点で描かれたベトナム戦争映画。
戦争映画は大きく分けると、過酷な状況下での心あたたまる感動作品と、リアリティを追求したメッセージ性の強い作品があるかと思いますが、この映画は後者でした。(オリバー監督なので覚悟はしてましたが)

作戦中や休息時の何気ない会話が生々しく、戦争においてのヒエラルキーが兵士たたちの主観で語られ、赤裸々なベトナム戦争を知ることができます。下世話なくらい泥臭く、地に足が付いた視点で描かれる戦争映画って、そう多くお見かけしないのでガツンとやられました…。

低所得、低学歴な貧乏人ほど危険な任務を任される…胸が痛くなる台詞。酒・タバコと同様に普通に薬物に依存する戦地。使命感、正義感…現実は、そんな建前すらないのです。戦闘での緊張感と束の間の休息を繰り返す中、必死に平常心を保とうとする異様な空気感が伝わってきます。
戦場に立つということは、勝ちたいとか正義で戦うなんて信条ではないんですよね。『死にたくない』『生きて祖国に帰りたい』ただそれだけを支えに戦う。そう言い聞かせ、与えられた任務に真摯にあたる兵士は模範的ですが、無秩序になった戦場はその枠を越えてしまう者もまた然り…。
なんとか良識を保つ兵士たちと、躊躇なく一般人や子供をレイプ・殺害する怪物と成り果てた、戦争ルールを無視した兵士とで内輪揉めとなり、どさくさ紛れに仲間同士殺し合いになる展開は胸が苦しくなった。初々しいチャーリー・シーンの爽やかさだけが救いか。。

『俺は何と戦ってるんだ?』

作品ポスターになってるウィリアム・デフォーの両手を振り上げたシーン。このシーンに至る経緯は衝撃すぎて声を上げました。この一連の展開は戦場のリアルを物語り、戦争について深く考えさせてくれます。

アメリカ軍の敗戦ムードを感じながら、命を晒し危険な戦場に立ち続けねばいけないって何の大義なんだ…と虚しくもなった。

『戦争は人間を狂わせる』
前線に立つ者たちの不条理を痛いほど感じられる映画でした。一度は観ておくべき作品だと思います。

『若者よ、生きているうちに好きなことをやれ』見終えたあと、冒頭のメッセージが強烈に響いてくる不朽の名作でした。
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