桔梗

川の底からこんにちはの桔梗のネタバレレビュー・内容・結末

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

U-NEXTにて鑑賞。

人生のあらゆる理不尽を”仕方ない”と言う言葉で諦めて来た佐和子。
そんな彼女が人生のどん底まで落ち切った時、そこから再起する姿の潔さが素晴らしい。清々しいほどの開き直りの中で”中の下な人間である事”の生き易さをユーモアたっぷりに説いてくれる。

登場人物がそれぞれに良くも悪くも人間臭く、男女間のどうしようもなさ、そして人間の弱さ等が等身大の高さで描かれており、人生のリアルがそこに見える。佐和子とは生き方も性格も何もかも違うけれど、どこか感情移入してしまうのは、そのリアリティさからだろう。

感情が消えた様にイエスマンだった佐和子が、ケンイチに対し核心を突く正論をぶつける場面も印象的。感情的に意見を述べるものの、その表情は何処か冷めている。きっとどんな時も”仕方がない”と諦めて来たからなのでしょう。それでも、かよこに対しポロリと本音を零す場面で、初めて佐和子の可愛らしさが垣間見えた気がして僅かに安堵感を覚えた。

満島ひかりさんの飄々としたお芝居もとても魅力的な作品でした。人生の教訓として、この映画は何時までも私の中で名作になりそう。どん底まで落ちたら仕方がない、後はひたすら登るだけ。明日の為に生きるだけ。それが人生。
桔梗

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