オーウェン

マイレージ、マイライフのオーウェンのレビュー・感想・評価

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)
4.3
ジェイソン・ライトマン監督の作品はことごとくユニークであり、題材に比べてそれをライトに見せる感覚は他のどの監督もなしえない領域に入ってきている。

原題はUP IN THE AIR。
飛行機が家とも言えるような生活を送る男であり、それに掛けたタイトル。

1年のうち322日間は外出。残りの43日間を家で過ごす。
もちろん仕事の関係上だが、これに誇りを持ち1千万マイル貯めるのが目標と言い切る男。そんな男の日常が変わっていく。

単純に考えれば実に理にかなった行動。
いらないものは捨て、必要なものすべてを考えるとアタッシュケースに収まってしまうのだから。
リストラ宣告人という今の世だからこそ必要な職業。

宣告する際には同情や哀れみを持たせるが、その時だけの出会い。
だからこそ男にとっては結婚も隣人との付き合いもそこそこでOK。
でも本当に愛する人や、家族の存在を考えたとき、男の常識が崩れだす。

実にユニークな設定で、これだけでも面白くなるのは手に取るように分かる。
リストラ宣告人なので非常な行為をを正当化でき、それを後半共感させなくてはならない難しい役柄。
ジョージ・クルーニー以外の俳優ではこの役は務まらないだろう。

ルーキーながらも真実を諭すアンナ・ケンドリック。
同業ながらも、収まるべきところに収まるヴェラ・ファーミガ。
脇も素晴らしく会話の掛け合いが真実を付いてくる。この会話の妙が心地よい。

結局のところリストラ宣告人はあくまで職業を解雇させるだけ。
人生にリストラはないからこそ、本当に必要なものが見えてくるというわけだ。
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