靜

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女の靜のネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

ムッソリーニて、最初は社会主義者だったのね!!
世界史のこと全然分かっていないことが浮き彫りになるなぁ・・。

若い頃のムッソリーニの愛人であったイーダの半生。
政治集会で「わたしを殺す猶予として、神に5分間与える。もしわたしが生きていれば、神がいないことの証明になる」っていうベラボーなことを言い出し、何も起こらなかった5分後にドヤ顔を決めて、周りの人に非難轟々なムッソリーニの様子を嬉々として眺めるイーダの表情といったら。
飼い主を見つけた犬みたいだったな。

ムッソリーニにすべてを注ぎ込み、彼が社会的地位を上げていくにつれて、皮肉なことに、所詮愛人のイーダは邪魔がられ捨てられてしまう。そしてここからが女の執念全開で、尚且つ押してもだめなら蹴破るぐらいの強さでムッソリーニに付き纏い始める。彼との間に子供も出来ていたし、彼を今の地位まで「育て上げた」プライドもあったんだろうな。
もう、捨てられたと分かり切っているのに「彼の理解者はわたしだけ」
「彼もわたしを愛している」と言うイーダの勘違いぶりには、うんざりさせられる
けど、彼女はどんなに自分の立場が悪くなろうが、頑として主張し続けていた。
精神病院に無理やり入れられてしまい、余計に真実を真実として受け取られなくなっていっても、出られるチャンスがあったとしても、折れなかった。
共感も理解も出来ない人物だけど、その姿勢には、なんだか泣かされた。
彼女は(ちょっと勘違いがあるかもしれないけど)気持ちに嘘がない。

原題も「勝利」という意味らしい。勝利なのかは疑問。
靜