これが映画か?と問いたくなるくらい退屈な作品。しかし、むしろだからこそこれが映画だと言いたくもなる。
カメラが根気強く、人物の顔をクローズで撮り続け、人の歩く様を追い、群衆と風景を収める。あまりにも禁欲的に、必要最小限の要素で構成される作品の全体が、キリストの生涯を映画そのものとして構築している。
車と女性と銃があれば一本の映画が作れる、という言葉がよく引かれるけど、パゾリーニからしたら、人間がいるだけでミニマルな映画になるのだろう(ロケーションの勝利と言えなくもないが)。
とは言いつつも、真っ先に浮かんだ感想は、制作会社はよくこれにお金を出したな、というものなのだけど。