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平行と垂直
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平行と垂直の作品紹介

平行と垂直のあらすじ

⾃閉スペクトラム症の⼤貴と、兄を幼い頃から⽀えてきた妹の希。兄妹は幼い頃に⺟親を亡くし、ネグレクト気味の父親から距離を置き、二人で懸命に⽣きてきた。 ⼤貴はほとんど会話をせず表情もあまり変わらないように見える。グループホームから自立を目指して、一人暮らしを始めた大貴は独⾃の規則を持っている。全てを平⾏と垂直に並べるほど几帳面でこだわりが強く、机に並ぶ⾷器も丁寧に揃える。週に一度の希との⾷事の時間は決まって19:00。1 分でも過ぎると落ち着かなくなる。 カウンセラーの仕事をしている希は恋⼈からプロポーズを受け、⼀抹の不安を抱えながら兄と共に、婚約者の両親に会いに東京へ⾏くことに・・・。

平行と垂直の監督

小林聖太郎

原題
公式サイト
https://www.toei-video.co.jp/heikoutosuichoku/
製作年
2026年
製作国・地域
日本
上映時間
118分
ジャンル
ドラマ
配給会社
東映ビデオ

『平行と垂直』に投稿された感想・評価

ぶみ
4.0
ずっと、ふたりで生きてきた。

小林聖太郎監督、安田章大、のん主演によるドラマ。
自閉スペクトラム症の兄と、結婚を控えた妹の姿を描く。

主人公となる兄妹の大貴と希を安田とのん、希の交際相手を伊島空、その両親を菅原大吉、神野三鈴が演じているほか、高山トモヒロ、谷村美月、福田転球、芦川誠等が登場。

物語は、まだ暗いうちからアパートを出る大貴の姿でスタート、アパートから出ると、全ての曲がり角を直角に曲がって歩いていくため、一目で大貴の拘りを感じられるオープニングとなっている。

次には、アラームで慌てて起きる希が映し出されるのだが、大貴は清掃の仕事、希はカウンセラーとして働いており、大貴が自身で作ったお弁当は、四角いおにぎりに四角い卵焼きと、これまた彼の拘りが満載。

大貴は幼い頃から自閉スペクトラム症を抱えていて、そんな兄を当たり前のように支えてきた希が、交際相手からプロポーズを受けたことから、二人の日常が静かに動き出す様を中心として展開、毎週水曜日は、大貴の家で19時に食事会をするという二人の約束からも、兄妹の関係性が窺われたところ。

その食卓のシーンで、真上からのカメラにより、画角に対してずれて置かれたテーブルが、ゆっくりカメラが回転することによって、画角に対して平行と垂直になるというカメラワークがあり、思わず見入ってしまった次第。

何より、髄膜腫腫瘍の摘出手術の後遺症からくる光過敏により、日常的にサングラスを着用している安田が、そのサングラスを外してでも企画と主演をしただけあって、安田の表情で語る演技と、それに呼応するかのようなのんのやりとりは、時折挿入される回想シーンの二人の子役も含め、本当の兄妹を見ているよう。

加えて、舞台が大阪の堺で、ややもすると重くなってしまいがちな作風が、軽やかな大阪弁によってマイルドに仕上げられており、特に、大貴と仲良しの少女との会話は、何とも微笑ましいもの。

鉄道好きの視点からすると、阪堺電気軌道(通称:阪堺電車)の車両や、今でも色褪せないデザインを誇る南海電気鉄道の特急ラピートが登場していたのは見逃せないポイント。

往々にして綺麗事の展開に終始し、ああ良かったねで終わらせてしまうところを、「わかってるんだけどね」と言いながら本音をぶちまけたり、偽善とも言える言葉を発したりと、しっかりと人間の嫌な部分も描いており、理解はできなくても、お互いを想う気持ちの大切さと、その先も続いていく日常に、ふと思いを馳せることになったとともに、その昔、空港連絡鉄道である特急ラピートが運行開始した当時、それに乗りたいがためだけに、友達と関西国際空港へ行ったことを思い出した良作。

大切な人の心の声が聞きたい。
この映画は、兄と妹の物語。
​自閉症の兄の大貴と、彼を支える妹の希。
幼い頃に母を亡くし、家庭を顧みない父の育児放棄に悩まされながらも、二人は助け合って生きてきた。
几帳面な​大貴の歩行進路は常に直線的。曲がる時は直角に曲がり、コトコト小走りで、ルーティンを崩さない。
( ー`дー´)キリッ
清掃の仕事に就き、グループホームから自立して一人暮らしを始める。
物を平行や垂直に並べる、週に一度、19時に妹と夕食を囲むといった、独自ルールを厳格に守りながら過ごす男。

​一方、カウンセラーとして働きながら兄を見守る希は、
ある日、恋人からプロポーズを受ける。
結婚への喜びを感じるかたわら、大貴との生活や関係が変わる事への不安が膨らむ。
(-_-;)
兄を連れ、東京にいる婚約者の両親へ挨拶に向かうことを決意するが、
二人の生活に少しずつ変化の兆しが見え始め、、、というお話。

今作は、自閉スペクトラム症の兄と、彼の「心の声を聴きたい」という一心で心理カウンセラーになった妹の、
複雑な家庭環境を経て培われた強い絆を描いた、温かなヒューマンドラマだった。
​観客に特定の生き方を、強要も否定もしない優しい世界観でハートフルなストーリーでもあり、
一方では、自閉症の身内を抱える家族の苦労や理不尽さ、生きづらさも余すことなく描かれていた。

四角いおにぎりや四角い卵焼きを作り、厳格なルーティンを大事にして生きる大貴の姿は、一見すると不器用だ。
しかし、彼にとってはルーティンの崩壊こそがパニック発作の原因にもなるので、
世界や人々と調和するための必然的な防御策でもある。
物語が進むにつれ、最初は違和感を覚えた大貴の変な歩き方すら、
次第に正しく美しく見えてくるから不思議だ。

言葉を交わさずとも通じ合う以心伝心の兄妹の姿は、
身体障がい者の兄と知的障がい者の弟の関係を描いた韓国映画、「僕の特別な兄弟」を類似作品として連想させる。
障がいや偏見を越えた「互いを理解しようとする努力や姿勢」の尊さを教えてくれる。
これは何も兄妹だけの話ではなく、周囲の関わりを持つ人々にも当てはまる事柄であり、
理解の為に一歩前へ踏み出す大切さも教示している。

​役者陣の魅力も光る。主演の兄役の安田章大は、自身が病気がちで滞る芸能活動だった30代を経験したからこそ、
大貴の苦悩と純粋さに圧倒的なリアリティを吹き込んでいた。
彼は企画段階から本作に参加したというが、表現したかった生きることへの切実な愛おしさが全身から溢れ出ていた。

また、妹役ののんが見せるウェディングドレス姿は息を呑むほど美しく、
誰だってのんと結婚したいに決まっていると思わせる、圧倒的なヒロイン性で作品を華やかに彩っていた。

​作品の清涼剤となっているのが、大貴の友達で、紗奈を演じた子役の河野咲良だ。
( ・∀・)イイ!!
ませた5歳児という非常に面白いキャラクターで、彼女がセリフを言うたびに客席から笑いが起きており、
重くなりがちなテーマに絶妙な軽やかさを与えていた。
アレだけボケが外さずに決まりまくると、プロの芸人も嫉妬するに違いない(笑)
小林聖太郎監督の父、上岡龍太郎から受け継いだような笑いのセンスを感じたし、人間観察の深さも垣間見えた。
従兄弟でもある、お笑いコンビ「ミキ」の兄弟愛に通じる、ポップな喜劇的感性が生きていた。
脚本を手掛けた山野海の喜劇センスも感じた。俳優業で見かける事は何度かあったが、
演劇出自らしい、質のいい脚本も書ける多才さを見せつけていた。

ただし!
(ΦωΦ)フフフ…

​もちろん作品として完璧なわけではない。唯一残念なのは、前半のテンポが悪く、
ややクドい描写が続いて冗長に感じられた点だ。編集ワークに若干、物足りなさを感じた。
あと10分縮められたら、もっと良い映画になったはずだ。

基本、いい人ばかりが登場する映画だったが、大貴の職場に赴任してきた課長の、
シッタカマウント取りには強い不快感を覚えた。
しかし、要所要所に温かな理解者が存在し、
「迷惑をかけて生きるのはお互い様」という精神が通底しているため、後味は決して悪くない。
​
終盤に描かれる「じゃんけん」の「おあいこ」の精神。
勝ち負けではなく引き分けること、互いに歩み寄ること。
私たちが生きていく上で本当に必要なのは、
この「おあいこ」の優しさなのだと心に深く沁み通る作品だった。

追記
父親役がクズで嫌悪感を持った人も多かろうが、父親役の高山トモヒロは、
伝説のお笑いコンビ、元「ベイブルース」のメンバーである。
相方がご存命なら天下を取っていたかもしれない人なので、嫌いにならないで、、、(笑)
(´Д⊂ヽ

良かった演者
安田章大
のん
河野咲良
伊島空
神野三鈴
菅原大吉
芦川誠
早織
高山トモヒロ
谷村美月
福田転球
5.0
【おあいこの兄妹】

小林聖太郎監督×安田章大×のん共演の2026年のヒューマンドラマ作品

〈あらすじ〉
幼い頃に母親を亡くした兄の大貴と希の兄妹は、二人で懸命に生きてきた。大貴は自閉スペクトラム症(ASD)で、殆ど会話をせず表情もあまり変わらないが、身の回りの物事を几帳面に整える性質を持っていた。現在はサポートを受けながら清掃の仕事に就き、一人暮らしをして自立した生活を送る。妹の希はカウンセラーとして働きながら、週に一度、19時ちょうどに兄と食事をする。しかしある日、希が恋人からプロポーズを受けたことで、二人の変わらない日常が静かに揺れ始め…。

〈所感〉
これは文句なしの傑作ですね。のん主演作ということで劇場鑑賞。流石に4.9が妥当と思ったが、紗奈ちゃん役を演じた子役の河野咲良が天才すぎて、敬意を表してフルスコア。「うち母子家庭で、いわゆる待機児童やんか?」と大人顔負けにペラペラ喋るので、笑いをこらえるのに必死だった。同じような方沢山いるのではないだろうか。正直見る前は、題材的に障がい者を主人公にした24時間テレビみたいなお涙頂戴系偽善ファミリードラマかな?と邪推してしまったのが、申し訳ないくらいクスッと笑えてちょっとウルッときて、非常に心が揺さぶられる兄妹の強い結び付きを描いた物語だった。オープニングクレジットで企画に安田章大とあったが、安田くん本人がきちんとASDに対する理解と研究を深めた上で、この役に臨んでいるんだなぁという真摯さが見られて良かった。それくらい全く違和感の無い自然な演技だったし、大貴の折り目正しすぎる「平行と垂直」の日常の振る舞いには、彼なりの絶対的な拘りが見られて良かった。まぁこの手の題材は、既に『シンプル・シモン』という傑作洋画があって、あちらでも主人公のシモンは、日々をきちんとスケジュール通りにこなし、丸や四角という形に強い拘りを持っていたのもあって、特に内容が目新しいわけではない。だが、本作の大貴の場合は兄として健常者の妹を守りたい、そのためにまず彼女の負担にならないよう安心させたいという想いから、自立して一人暮らししているのが素晴らしいことだと思った。本来彼のレベルなら、施設で暮らしていた方が彼にとっても周囲にとっても明らかに平穏無事で都合が良いだろうに、飽くまで普通に生活していこう、させようというコンセンサスが取れているのが尊いことだ。そして妹の希を演じたのんも物語終盤にかけてギアを入れ、感情を爆発させるのが、彼女の本領を発揮していて本当に良かった。希も兄のことを内心はお荷物と思っているのだが、それを他人に言われると「大貴はお荷物なんかじゃない!」という態度を見せる。結婚相手の母との例のシーンはとても緊張が走った。大貴は皆が思っている以上に言われたことを理解しているし、ただそれを表現することができないだけで、誰かの言葉や気持ちはきちんと彼の奥底に伝わっているのだ。大貴だけじゃない。健常者の希も全然完璧じゃないし、人間は誰しも間違ってしまうことがある。根本的には誰のせいでもない。でも、そういうことが起きてしまった時に、それを笑って許せる社会であってほしいものだ。ラストでは、希も翻って「お荷物同士おあいこやな!」と二人が同じ方向を向き出して、バージンロードを共に歩くまでの流れがお見事。ここで、冒頭のカクカクとした"変な"歩き方が、最後には"正しい"歩き方として収束されるのが唸らされた。それは彼の生き方やライフスタイルを肯定するようなエンディングで、皆が大貴を色眼鏡で見ずにそこにいて良い人、いるべき人として扱っているのがとても温かい。これからもこの兄妹は支え合って、お互い迷惑をかけながら生き続けていくのだろう。平行とは、それぞれが混じり合うことなく淡々と各々の道を進むこと。垂直とは、自分の線に別の人間の線が入り込んでくること。平行線は交わることはないけど、必要な時に支え合うことができる。この反復こそがより良い人生を作り上げるのだろう。心から理解できなくても、強要も否定もせずとも、分かり合える。ある兄妹に訪れた変化とそれでも変わらないものを軽快なコメディタッチで描き出した傑作ファミリードラマだと思います!是非今劇場で見てほしい作品です😄

"私がお兄ちゃんをお荷物だと思っていたことを、お兄ちゃんはずっとわかっていた"

《2026年 557本目》

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