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シャドウワークの作品紹介

シャドウワークのあらすじ

日常的に暴力を振るう夫から逃げてきた紀子。絶望の中、入院先の看護師・路子に救われ、配偶者や親から暴力を受けた女性たちを匿うシェルター<おうち>に身を寄せる。そこでは暮らしのすべてが「持ち回り」というルールで成り立っていた。穏やかで守られた日々を取り戻していく紀子だが、少しずつ違和感を覚え始める。 やがて<おうち>が“交換殺人”によって女性たちを解放している事実を知る。 残るか去るか、選択を迫られる紀子。一方、とある事件を追う刑事・薫もまた夫からの暴力に苦しんでいた。 疑われることのない夫・晋一と追い詰められていく現実のなかで、薫は事件の先に<おうち>の存在へと辿り着く。 そして晋一の存在によって、その均衡が崩されていく――。

シャドウワークの監督

𠮷野竜平

原題
公式サイト
https://shadowwork-movie.jp/
製作年
2026年
製作国・地域
日本
上映時間
129分
ジャンル
サスペンス、クライム
配給会社
ショウゲート

『シャドウワーク』に投稿された感想・評価

背骨
3.5
大好きな映画『君は永遠にそいつらより若い』𠮷野竜平監督の新作にして吉岡里帆主演作品のクライムサスペンス

夫の暴力から逃れた主婦がたどり着いたシェルターには絶対に守らなければいけない「持ち回り」ルールがあった…

「そんな事が可能なのか?」というフィクショナルなストーリーをシリアスなトーンで描いているのが特徴。もう一人の主役奈緒の側のストーリーが効いていて徐々に説得力を増してくるし、後半にかけて斜め上行く展開もあり最後まで飽きさせない

宣伝の方曰くラストの描き方には賛否両論あるとの事だったが、個人的には好きな終わり方。北村匠海が最凶で最高です
この映画は、我慢の限界にきた女性​達の物語。
夫からの日常的なDVに耐えかねた紀子は、
DVで病院送りにされた際に出会った看護師路子の救いにより、
暴力に怯える女性たちを匿う、海沿いのシェルター「おうち」に身を寄せる。
(*ノェノ)タスケテー
傷ついた彼女たちが温かい共同生活を送るシェルターは、まさに楽園。
ヽ( *•ω• )人( •ω•* )ノナカーマ
しかしそこには「持ち回り」と呼ばれる不穏なルールが存在していた。
(゚Д゚)ハァ?

​一方、ある事件を追う刑事の薫は、捜査の過程で「おうち」の存在と裏に隠された秘密へと近づいていく。
平穏に見えるシェルターで一体何が行われているのか、、、というお話。

​今作は一見すると、DV被害に悩む女性たちが連帯し救い合うシスターフッドの物語であり、
痛切なDVをふるわれる弱者の女性の連帯を描いたサスペンスのように映る。
しかし、今作を単に「男が女に暴力をふるう話」として片付けてしまうのは、映画が仕掛けた罠に嵌まるようなものだ。

ここで描かれているのは、性別の対立に留まらない、権力・権威・大義名分を持つ強者が、
一方的に、持たざる者としての弱者を痛めつける、構造と権威主義の醜悪さがある。
そして、広義な意味でいえば、主に弱者側の暴力報復行使の肯定、すなわち、戦争肯定映画とも受け取れる。

劇中、村と王様の寓話が登場したが、以下のようにアレンジ脚色する事ができる。

あるパレスチナ村で、パレスチナ村人に残酷な仕打ちをしているイスラエルの王様がいました。
一人の勇敢なパレスチナ村人がその悪いイスラエル王様を殺しました。その犯人を、あなたは匿っています。
イスラエル王の家来たちは、犯人の居場所を吐かせるために、パレスチナ村人を拷問し始めました。
犯人の居場所を知っているのは、あなただけ。
あなたならパレスチナ村人を助ける?犯人を守る?パレスチナ村人の為に暴力を使える?
(・∀・)ニヤニヤ

​観る者の倫理観を根底から揺さぶる、極めて危険で、かつ現代的な、紛れもない「問題作」だった。
穏やかな海風が吹き抜ける千葉の館山。私自身にとって馴染み深い地元が、
まさかこれほど凄惨で血塗られた劇薬のような、暗闘の舞台になるとは思いもしなかった。

​劇中で展開され浮き彫りになるのは、弱者同士が手を取り合い、
強者たる加害者を排除していく、持ち回りシステムや互助会としてのギブアンドテイク(交換殺人)の仕組みだ。
法律や警察が機能しない暗がりで実行されるその私刑システムは、
まさに「令和の仕置人ネットワークグループ」であり、必殺仕事人の現代的アップデートとも言える。

仕置される側が今作では男性になるが、当然、女性が仕置される側になる場合も、世の中にはいくらでもあるのは、
セクシー作品の「陵辱仕置人」系に馴染みのある男性諸君なら、すぐにピンと来るだろう。
ホームレスが悪ガキに痛みつけられ、悪ガキリーダーのAV女優が、ホームレスの依頼によって報復レ●プされる作品だな。
まぁ私にはサッパリ分からないジャンルだけれども♪
┐(゚~゚)┌シラネーナ

こうした、逃げ場のないダークなサスペンスの骨組みや暴力の連鎖の描き方は、
社会の闇を容赦なく暴き出す、韓国映画によくある設定やモチーフを強く想起させる。

​作品を牽引するのは、圧倒的な表現力を見せる女優陣達の演技合戦だ。
特に奈緒の魅せ方は凄まじいが、同時に、また弱者の役なのかよと、
彼女が作品のたびに背負わされ続ける被害者像に、
弱者演技ばかりさせられて可哀想という感情すら芽生えてくる(笑)
┐(´д`)┌

一方で、うっすらと底知れぬ悪をまとう北村匠海の存在感は、
過去作「金子差入店」で見せた静かな毒と影を彷彿とさせ、劇中の緊張感を決定づけている。
「東京リベンジャーズ」や「とんかつDJアゲ太郎」など、
共演陣の不祥事の連続で、主役や座長になるのが相当嫌になってしまったのだろうか(笑)、
今回も脇役では役不足なほどの存在感だった。

​ただ、劇中における男性像やミソジニー(女性嫌悪)の描き方が、ややステレオタイプに偏っている点は否めない。
私から最先端のミソジニー表現を学習して欲しい所だ(笑)
(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

しかし、その単純化された構図の奥には、より広い「強者と弱者」のスライド構造が隠されている。
支配する側が持ちだす「大義名分」と「傲り」、支配される側に刷り込まれる「卑屈」。
この構図は、時代や文脈が変われば容易に立場が入れ替わる。
(゚Д゚)ハァ?
例えば、社会規範を盾にされた時、喫煙者もオジサンも、簡単に弱者側に当てはめる事ができる。
その時、強者側は「正義の味方」の顔をした、忌々しき禁煙者や、悍ましきオジサン差別主義者へと変貌するのだ!
((+_+))
今作は、誰かが「正当性」を手にした瞬間に生じる、理不尽な圧力を容赦なく映し出していた。

​弱者側の女性たち、特に主演の吉岡里帆は、
主体性が欠落し、どこか諦観の念があり、低い自己肯定感の女性として描かれていた。
彼女たちは社会から透明化され、傷つけられ尽くした末に、自分たちの「正義」を新たに作り出す。
その窮地から絞り出されるのが、あの象徴的な言葉だ。

​「間違ってると思うよ、私たち、でも、正しく間違いたい」

​この言葉が意味するものは極めて重い。自らの行いが法や倫理に反する「罪」であると自覚しながらも、
そうしなければ生き残れない現実の中で、せめて自分たちの矜持と連帯=正しさを持って罪を犯そうという決意。
しかし、ここには逃げ場のない倫理的破綻が潜んでいる。

​劇中で提示される「保護施設=シェルター」は、暴力を受けた者たちにとっての最後の楽園として機能する。
だが、その実体はシェルターは楽園だが破滅的な二面性を持っている。
なぜなら、その楽園を維持防衛するために報復や殺人を肯定した瞬間、
「これは良い暴力、これは悪い暴力」という、暴力の選別が始まってしまうからだ。

嗚呼、またしても「命の選別」が題材だった「爆弾」のスズキタゴサクの高笑いが聴こえてきてしまうし(笑)、
「いかなる暴力も私は認めない(キリッ)」とかほざいていた反戦主義者達が、
「このDVは酷いから彼女達を応援しちゃった(テヘヘ)」と、アッサリ暴力行使肯定側に回る、露悪な姿まで見えてきた(笑)

ハイハイ、どうせ私の幻聴だし、私の幻覚なんですよね?
お薬飲むから処方箋出しといてね♪
┐(´д`)┌ヤレヤレ

​自分たちの暴力は「弱者を守るための善き暴力」であり、相手の暴力は「理不尽な悪き暴力」であると線を引く。
しかし、シェルターの暗躍する活動を容認した瞬間、
いかなる暴力も許されないという反戦論理・絶対的非暴力の前提は完全に破綻する。
「善なる弱者に対する暴力への報復を肯定する」ロジックは、
そのまま世界中で繰り返される紛争や戦争の開戦事由と、同じ構造を描いてしまうのだ。
ドォォォォォ━m9( ゚∀゚)━ォォォォォン!!!

​この構造を推し進めれば、今作は、広義な意味での戦争肯定映画になりかねない。だからこそ危うい。
​「やられたらやり返す」「弱者を守るためなら殺人も許される」という自己正当化は、
歴史上のあらゆる戦争が掲げてきた「正義の防衛戦」と何が違うのだろう?
(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

劇中の行為は、単純な勧善懲悪ではない。
どれほど相手が絶対的な悪だとしても、それを成敗するのは本当に正義なのか? 英雄なのか?
私たちは「悪いやつが倒されてスカッとした」で済ませてよいのか?
ψ(`∇´)ψドウナンダヨ?

​今作は、決して心地よいカタルシスを与えてはくれない。
示されるのは、暴力でしか自らを守れなかった者たちの悲痛な叫びと、
暴力を行使した瞬間に、ミイラ取りがミイラになるような危ういパラドックスだ。
(ΦωΦ)フフフ…
​観る側のバックボーンや価値観次第で、
この映画は「抑圧された弱者の崇高な救済劇」にも見えれば、
「正義の仮面を被ったアナーキズムと暴力を正当化する危険な過激映画」にも映るだろう。

自分が冒頭のパレスチナの問いにどう答えるか。
その答えによって、この映画の解釈は180度姿を変える。鑑賞後、不穏で冷たい余韻が消えない、極めて鋭利な問題作だった。

良かった演者
吉岡里帆
奈緒
北村匠海
風吹ジュン
ファーストサマーウイカ
清水尚弥
原嘉孝
吉岡睦雄
小川菜摘
酒井若菜
佐月絵美
美保純
ぶみ
4.0
やめた、奪われるのは。

佐野広実が上梓した同名小説を、𠮷野竜平監督、吉岡里帆、奈緒主演により映像化したサスペンス。
DV被害者等を受け入れるシェルターで行われている組織的犯罪を描く。
原作は未読。

夫の暴力から逃れてきた主人公の宮内紀子を吉岡、不可解な事件を捜査する刑事の北川薫を奈緒が演じているほか、風吹ジュン、美保純、酒井若菜、ファーストサマーウイカ、佐月絵美、北村匠海、原嘉孝、清水尚弥等が登場。

物語は、冒頭、恋人や夫から暴力を受けたことのある女性が4人に1人いるという強烈なメッセージが浮かび上がった後、夜の海岸で、クルマから何かを下ろす人々の姿が映し出されたと思ったら、山口百恵の『プレイバックPart2』を口ずさみながらクルマを走らせる女性4人組が登場したので、サスペンスなのかコメディなのかよくわからないオープニングに。

次には、東京に住む紀子が仕事に出かけるシーンとなるものの、帽子を目深に被ったので、何か人目を避けるような事情があるんだなと思うと、案の定、紀子が働くビル清掃の現場を窓越しに眺める男が現れ、紀子は怯えてしまうのだが、実はその男は紀子の別居している夫で、紀子の自宅まで来て復縁を迫った挙句、すったもんだがあり、紀子はアパートの階段から転げ落ちてしまう始末。

一方、千葉県の館山の海岸で女性の遺体が発見され、薫が捜査に乗り出すが、薫は薫で警察のエリートである夫から暴力を振るわれていて離婚調停中と、夫に問題あり。

以降、入院している病院の看護師の紹介で、千葉にある配偶者や親から暴力を受けた女性たちを匿うシェルター「おうち」に入居する紀子と、自殺として処理された遺体発見事件に疑問を持ち始めた薫の姿を中心として展開。

本作品の肝となるのは、やはりその「おうち」と呼ばれるシェルターであり、食事の準備を順番でしていることを筆頭に、厳格なルールがある中、組織的犯罪も持ち回りで行っていて、紀子がどのように「おうち」に染まっていくのか、さらには、薫が捜査している事件といかにして結びついていくのかが、見どころの一つ。

何より、一見、幸せそうな日常に見えて、犯罪も日常の光景となっている「おうち」は、ユートピアにもディストピアにもなるという不思議な空気感で満ちているのと同時に、登場する女性陣が受ける暴力シーンは、思わず目を背けたくなるようなクオリティで、吉岡や奈緒、さらには北村の熱演も目が離せなかったところ。

クルマ好きの視点からすると、北村演じる警察官僚の愛車が、メルセデス・ベンツのCクラスでも高性能モデルとなるAMG C63 SEパフォーマンスっぽかったのは、エリート意識の高さやヤンチャらしさを醸し出していて見逃せないポイント。

女性やお年寄りには手を出すなと、親から口酸っぱく教えられてきた身としては、DVするなんて何様だよって思いながら、善か悪かの二択では決められない社会の暗部をサスペンスタッチで描き出していたとともに、恋人や配偶者を「お前」という男にろくな奴はいないと思うのに加え、みんな大好き吉岡睦雄が、まさかの上司役だったのにはビックリした良作。

いい出会いには、サインがあるから。

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