全ての登場人物の気持ち、行動、カメラワーク、犬の交尾へのズーム、なんにも分からなくて共感ゼロのみで構成されているという点がとてつもなく〝映画的〟であった。
この場合においての〝映画的〟とは…… 観ていてもいまいちピンとこない映画を、それでも名作とされているから、みんな良いって言ってるから、理解できないのは恥ずかしいから、などの理由で一所懸命に背伸びして観ている自分自身の様子がとても〝映画的〟だなぁと思う。若い頃こういう感覚で過去の名作映画を観る事が多かった記憶がある。懐かしい感覚。
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20歳ぐらいの頃に『2001年宇宙の旅』を初めて観たときも、映画の内容が全くわからず、映画史に名を刻んでいる世間の評価と自分の感覚が噛み合わずにパニックに陥ったものだったが、その後何度かトライして観返すうちにだんだん良さが分かってきて今では自分のオールタイムベストの1本に選出するぐらい超大好きな作品になった。『ロング・グッドバイ』もいつか自分の中でそういう作品になるかもしれない。
