たけのこ

死霊の盆踊りのたけのこのレビュー・感想・評価

死霊の盆踊り(1965年製作の映画)
4.0
わたしはまだエド・ウッドをなめていたようだ。
といってもこれ監督は違う人か。いやそれにしてもヒドイ出来です。

なかなかここまでヒドイ映画って出会えないと思うとツチノコにでも出会ったような気分です。そして、「ヒドイ映画である」という触れ込みでこれを見て「ヒドイ映画だ」と感じるのですから、むしろそこは評価するべきだろうという発想からの4点です。
しかし中身は恐ろしくヒドイ映画なのでそこはご了承のほどよろしくお願いいたします。

プラン9~を見て、グレンとグレンダを見てからのこれでした。
いやね、実はわたしプラン9とか結構好きだったんですよ。ヒドイけど愛せる部分がある。普通に好きでした。でも、この盆踊りはなんていうんでしょう……、ヒドさ自体は愛せるんですけど、でもヒドさしかないといいますか。ボーリング場の未使用レーンに流れる映像でももうちょっと楽しい気がします。

いやそのね、わたしが仮に今、小学生高学年か中学生男子だったらある意味お祭りじゃ!お祭り!ってなったかもしれませんよ。なにせ次から次へとほぼほぼ全裸の女性たちが立ち込めるドライアイスのなかおっぱい丸出しで踊るんですから。この踊りがまた、うまくもなければ妖艶でもない。絶妙に投げやり。

そんな謎の盆踊りを一時間半のうちのほぼ90%以上にわたって見せ続けられるという苦行。あのほら「時計仕掛けのオレンジ」でさマルコム・マクダウェルが目をかっ開いて見たくないヒドイ映像を見せつつけられるじゃないですか。気分はもうあんな感じですよ。
え、まだやるの?ってか長っ?え、いつまで?というかこの物語に話はないの?え?終始踊るだけ??とか思っているうちに終わります。う~むすばらしい駄作っぷり。

しかもね。かなしいかな中学生じゃなくてもほぼ全裸で踊られるとどうしたって横目で見ちゃう自分がいるわけですよ。いやみなさん美人さんでスタイルもよくてお美しくいらっしゃる。でも駄作だし、駄演技。それでも思わず視線をひっぱられてしまう自らのスケベ心がいたいたしくて、涙出てきました。まさかそんなところで自分自身のよこしまな思いと退治させられるとは思いもよりませんでした。

でも、すごくよかったシーンはありましたよ。
主人公たちは早々につかまって、この盆踊りを見させられるわけでして、つまるところスクリーンの前に拘束されたわたしたちと同じ状況なわけです。そこで見せる女優さんの「わたし、なにを見せられているの……」っていうほぼ「無」に近い冷ややかな視線には共感せざる得ないって感じでとっても素晴らしい演技でした。これほど共感したことはここ数年で初めてかもしれません。……え?演技じゃないって?いやいやそんな。役者さんを信じましょうよ。あれは演技です演技。

まだまだ世の中広いなと思わせる映画体験でしたね。
やはり悪名だろうが、有名だろうが、名のある作品は見ておくに限りますね。まことにヒドくて楽しい経験でした。エド・ウッドはやはり推せますね。