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ラフマニノフ ある愛の調べのripplesのネタバレレビュー・内容・結末

1.8

このレビューはネタバレを含みます

本編最後に、翻訳では「創作作品で史実とは異なる」といった注記があったが、ロシア語では「まったくの創作で事実とは無関係」(Wikipediaより)と書いてあるらしい。

ではその創作が成功していたかと言うと、う~ん・・・
好みの問題かもしれないが、
・プロットが嘘っぽい(共産主義者の女の子や、後にロシア大使館関係者として現れた二人など)
・ラフマニノフの心理描写が薄い
・音楽が効果的に使われていない
といった印象。

史実の表現、音楽的表現、ドラマとしての面白さ、
そのどれもが物足りず、残念。

ただ、この映画のプロットがあまりにも不自然なので、鑑賞後思わずWikipediaで初めて彼のことを調べるに至った。彼の音楽は好きでずっと聴いてきたが、バックグラウンドは知らなかったので、それが今回の収穫かな。

ウィキによると、米国に移住してから作曲意欲を失い、友人になぜ作曲しないのかと聞かれてこう答えたという。
「もう何年もライ麦のささやきも白樺のざわめきも聞いてない」。
原題であり映画の主要モチーフである「ライラック」も、若い頃過ごしたロシアの別荘(妻の両親の別荘)に咲き乱れていたとか。そして、自身の墓はモスクワの墓地に、と希望していたらしい。
心が求めてやまない祖国ロシア。
彼の音楽を、もう一度聴きなおしたい。
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