これは面白い。異様なほど陽気に幕を開け、カークダグラスが剽軽なさすらいのカウボーイを演じているが、この男が(異様さという意味では同じくらい)深い闇を抱えているという二面性に痺れた。
自由をもとめてさすらう「星のない男」は、実際のところ、世の中の「柵(しがらみ)」から逃げ続けていただけではないか?という知的で重いテーマが、有刺鉄線をあれだけ毛嫌いしていたはずなのに後半では逆に有刺鉄線を貼る側に回るという展開、そして「正しい道など誰にもわからない」と朗らかに歌い上げる主題歌にも表れている。一見して掴みどころのない、この極端な説話的コントラストは正直うまくいっているとは言えないのだが、とはいえこの大胆さには恐れ入った。
ジーンクレインが強い女ボスを演じているところも面白い。(明らかにヒロイン枠なのにカークダグラスにヤリ捨てされるところは不憫ではある。。)
「カウボーイは牛を操ってなんぼ」という点をしっかり描写しているのも素晴らしい。傑作とは言い難いが、一見の価値はある良作。