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トロフィーの作品紹介

トロフィーのあらすじ

在日コリアンのルーツを持つ14歳の少女・ソヒ(恒那)は、朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来(梨里花)とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュ(井浦新)が持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまうー。

トロフィーの監督

孫明雅

原題
公式サイト
https://k2pic.com/film/trophy/
製作年
2026年
製作国・地域
日本
上映時間
103分
ジャンル
ドラマ
配給会社
K2Pictures

『トロフィー』に投稿された感想・評価

kuu
3.7
『トロフィー』
製作年 2026年。上映時間 103分。
製作国 日本

在日コリアンの少女を主人公に、家族・友人との関係や、自らのルーツと向き合う日常を丁寧につむいだドラマ。是枝裕和監督率いる映像制作集団『分福』のメンバーとして是枝監督や西川美和監督の監督助手を務めてきた孫明雅が長編初メガホンをとり、在日コリアン3世である自身の経験や葛藤の記憶を出発点にオリジナルストーリーで描き出す。

木漏れ日のように優しく、けれどどこか胸に刺さるこの映画は、静かな水底に沈む思い出のきれ端を眺めるような心地にさせる。たしかに、歴史の大河を少女の狭い日常に閉じ込めすぎてる部分があり、物語の規模を物足りなく思う気持ちがあると云う意見も分からなくはない。
 
映画の舞台は『東京の町』やけど、その底流には、かつて小生が子供のころに暮らした隣町――京都最大の在日コリアン集住地域である東九条の空気が色濃く通底していると感じた。過酷な渡航や戦後の混迷を生き抜き、血の滲む想いで築かれた百年の歩み。行間からは、高瀬川のせせらぎや路地に染みついた、あの泥臭くも温かい生活臭が確かに立ち上る。
 
せや、その重厚な歳月は、K-POPのチケットが欲しいという十四歳の無邪気な願いによって、指先ひとつの操作であっさりと手放されてしまう。民族の軌跡や構造的な課題に真っ向から切り込む劇的なドラマを期待する目には、今作の佇まいはあまりに静かで、物足りないかもしれない。
 
けれど、その小さな日常にこそ映画の本当の美しさがあると思います。父親が祖国から授与された勲章(トロフィー)を、日本人の友人とのフリマアプリでの小遣い稼ぎで売却してしまうとき、価値が壊れる寂しさと同時に、どこかホッとするような自由をも目撃する。
 
それは、上の世代が守り伝えてきた祖国や同胞の絆という重い物語、あるいは排他と連帯が背中合わせだった共同体の濃密な枠組みから、境界線を知らない現代のポップカルチャーを通じて軽やかに逃れようとする、必死の抵抗なのかもしれない。古いアイデンティティの重力からすり抜け、ただ今日を懸命に生きようとする若者の姿は、正しさを競い合う世間の喧騒から離れた場所で、静かに息づいています。
 
何が本当に大切なんかが見えなくなる世界で、どうやって自分の価値を確かめればいいんやろか?。紡がれてきた歴史の糸を自らの手で断ち切り、形ある宝物を失った後にやってくるんは、夕暮れ時の底知れない心細さ。
 
けど同時に、その静けさの中でしか聴こえない、自分自身の心の声もある。伝統という言葉にも液晶の画面にも映らない、剥き出しの孤独。地縁や血縁という濃い霧に包まれた街の片隅で、少女が抱える割り切れない寂しさは、答えのない日々に迷う人間の胸の奥にある、名前のない痛みとそっと重なり合う。
 
この物語は、分かりやすい救いをもたらすわけでも、誰かを断罪するわけでもなかった。ただ、少女が最後に自らの肉体を使って刻む、朝鮮舞踊の不器用で美しいステップの残像が、胸に深く残ってます。
  
あの下町の路地裏で少女が踏みしめるステップ、それだけはシステムに買い叩かれることも、誰かに奪われることもない。映画が捉えたその確かな肉体のぬくもりは、かつて隣町の暮らしの中で人々が分かち合ってきたあの土着的な熱量とも重なり合い、記憶の底をそっと揺さぶってくれました。世界の冷たさに寄り添いながら、不器用な生き方を包み込んでくれるよな映画でした。


在日コリアンの14歳の少女ソヒは、朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を過ごしている。ある日、日本学校との交流会で日本人の少女・未来と出会ったソヒは、K-POP好きという共通点から親しくなり、少しずつ外の世界とつながりを持ちはじめる。ソヒと未来はK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐため、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることにする。朝鮮学校の校長であるソヒの父サンジュが持っていた北朝鮮のCDが高値で売れたことに味をしめたふたりは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された勲章までも売ってしまう。

自身も在日コリアンのルーツを持つ新人俳優・恒那が映画初主演を務め、1年にわたる朝鮮舞踊の稽古を重ねて撮影に挑んだ。ソヒの父サンジュ役で井浦新、母ミリョン役で市川美和子、朝鮮舞踊部の先生役でちすん、朝鮮学校の担任ホン先生役で笠松将が共演。
symax
3.8
"日本が嫌ならウリナラに帰ればいいじゃん…"

朝鮮学校に通う14歳のソヒは、BTSのライブチケットを稼ぐために父サンジェが北朝鮮から授与された勲章を売りに出してしまう…その勲章が父にとってどれだけ大切なモノかを思いも知らずに…

在日コリアンというとある種デリケートな問題を孕むという事もあり、身構える部分がない訳ではありませんが、14歳という微妙な年齢の少女の葛藤と成長を爽やかに描いた良作…

父の勲章を勝手に売ってしまった事で自分のルーツを否応なく意識してしまうソヒ…

在日4世ともなると差別されているという意識は薄くなっているのか、両親への心ない一言がついつい出てしまう。

ソヒの周りの大人達は優しいながらもドキッとする台詞をさらっと言わせたり、北朝鮮の凱旋門がフランスの凱旋門より10メートル高い事を殊更協調する同胞…それを嘲笑する日本人…ソヒが打ち込む朝鮮舞踊を卑猥な目で見つめる日本人…嫌な部分もちらほら見せながら、本当に大切なモノはなんなのかを見つけ出すソヒの表情にハッとさせられます。

特に説明的なセリフが無いにも関わらず、丁寧な画作りで観客に理解させてしまうあたり孫明雅監督の並々ならね力量を感じます。

主人公ソヒを演じた恒那は、本作がデビューとは思えない自然な演技で、どことなく永作博美を感じさせる顔立ち…今後が楽しみな俳優さんですね。
背骨
4.0
推しのライブ費用捻出のために父の勲章を売ってしまう在日コリアン4世の物語

家族、国籍、貧困… 複雑で繊細な想いを抱えながら、自己のルーツやアイデンティティに触れていく少女の青春

日本人少女との友情、自分らしさを探し始める姿… 全てが輝いていて美しかった

父の勲章を売ってしまった事だけを事件として大きく取り上げるわけでもなく、彼女の境遇をずっと嘆くわけでもない。あくまでも朝鮮学校に通うひとりの生徒の青春物語として描く作風がとても良い

監督自身のルーツや経験を元に描いた瑞々しいデビュー作。これからの活躍にも期待です

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