三樹夫

マルタの鷹の三樹夫のレビュー・感想・評価

マルタの鷹(1941年製作の映画)
4.0
ハンフリー・ボガート演じる探偵のもとに超絶怪しい美女(ファム・ファタール)が嘘くさい明らか裏があるだろう依頼を引き下げ訪れ、事件に巻き込まれていく。殺しが起き、そして黒い鳥(マルタの鷹)を巡り嘘のつき合いの争奪戦へ。この鷹はマクガフィンであくまで作劇上のお宝。主人公が本当に手に入れたものは(追い求めていたものは)何だったかというと、それはまた別のもの。まあ、ハードボイルドですわ。
物語の出発点からして巻き込まれ型の主人公なわけですが、決して受動的ではなく、しかも次から次へと怪しい奴が出てくるわけですが、そんな状況下でもこの主人公ぶっちゃけ結構ノリノリ。率先して関わっててかなり能動的。笑い方もフッフッフという、完全に悪役のそれ。笑うだけで只者ではないということが分かるカッコいい笑い方。シビれます。
この映画はノワールのはしりということですが、ボイスオーバーナレーションはないが、ファム・ファタール、影、ハット、ロングコート、煙草など、ノワールと言えばという要素(男のカッコいい要素)は既にバッチリ押さえてある。ボンクラ男にとっての憧れの、カッコよさの美の世界というか、まあ実際にこういう目に遭ったらたまったもんじゃないですけどね。テンポはやたら速い。というよりかなりセリフ詰め込んでます。
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