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Laguna(原題)
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『Laguna(原題)』に投稿された感想・評価

[さようなら、イーナ・マリア] 70点

シャルナス・バルタス長編12作目。2025年は彼が6年ぶりに長編『Back to the Family』を発表をした年になったが、まさか同じ年に二本目の作品を発表するとは思わなかった。『Back to the Family』はいつもの混乱したバルタス作品という印象を受けたが、本作品は近作の中では異質な『Peace to Us in Our Dreams』に近いものを感じる。同作は主人公にバルタス本人、娘役に実娘イーナ・マリアを配役しており、バルタスの現在のパートナーであるローラ・クミエリアウスカイテを含めた三人家族がそれぞれバラバラの方向を向いて崩壊しかけている様を描いていた。2011年に最愛のカテリーナ・ゴルベワを亡くしてから初めて発表した作品であり、亡くなった元妻役としてガチホームビデオまで登場させていた。鑑賞が7年前なので内容はほぼ忘れているが、それだけは鮮明に覚えているのは、ゴルベワさん本人の登場そのものより、あまりにもイーナ・マリアがゴルベワさんと似ているからだった。その後の作品でもゴルベワさんに似た女優を登場させるくらい彼女の死を引き摺るわけで、同作におけるゴルベワさんの面影を一身に背負っていたのがイーナ・マリアだった。そして、何を隠そう私と同い年なので、勝手に親近感を抱いていた。だが、2021年4月7日、イーナ・マリアは国会議員の息子の飲酒暴走運転による衝突事故に巻き込まれて亡くなってしまった。本作品は彼女を失った悲しみをそのまま映画にしている。亡くなる直前、イーナ・マリアはメキシコでの映画撮影に誘われ、ロケ地に移住した。子供の頃から自然が好きだったという彼女は、ロケ地を心底気に入ったらしい。彼女の思い出が残る最後の地を、バスタスはイーナ・マリアの妹ウーナ・マリアと共に訪ねる。ウーナ・マリアは12歳前後なので、イーナ・マリアとは15歳以上離れている計算になるが、二人はよく遊んでいたようだ。

バルタスは、メキシコ熱帯地域のラグーン周辺地域を、『オルメイヤーの阿房宮』のオルメイヤーのようなくたびれた格好で歩き回る。地元の人々や動植物の日常風景にも目を向けて、その生と死を繊細に見つめ記録する。そして、自己暗示のように自然や時間の壮大さを説く。人間は何千年も前から続き、この先何千年も続いて行く、我々はその壮大な流れの中にいる、と。そうでもしないと押しつぶされてしまうような巨大な悲しみと正面からぶつかるために。それはバルタス本人のためでもあり、ウーナ・マリアのためでもある。見ていると恥ずかしくなるくらいまっすぐな表現は、正しく彼女のためなのだろう。"僕らは何も変えられない、生きることしかできないんだ"、そういうことだろう。