KnightsofOdessaさんの映画レビュー・感想・評価

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映画(1070)
ドラマ(11)

Last and First Men(原題)(2020年製作の映画)

3.5

[辛抱強く聴いてくれ、あなたたちの助けが必要だ]

ヨハン・ヨハンソン最初で最後の映画作品。下敷きになっているのは、人類が死に絶えて以降の地球(或いは太陽系)の20億年に渡る進化と滅亡の歴史を綴ったオ
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Dillinger è morto(原題)(1969年製作の映画)

5.0

[赤い水玉のリボルバーと幼稚な革命行為] 100点

最初に言うべきは、全く以て意味不明な映画だと言うことだろう。製作されたのは1969年のイタリアであり、ミシェル・ピコリ演じる主人公グラウコはその中
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Window Boy Would Also Like to Have a Submarine(英題)(2020年製作の映画)

3.5

[クルーズ船は世界を繋ぎ、人を繋ぐ] 70点

フィリピンのジャングルの奥深く、パタゴニアを旅する豪華客船、モンテビデオのアパート。全く関係ない場所にいる全く関係のない人々は静かにポータルを発見し、交
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時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年製作の映画)

4.5

[ある絶望した天使が求めた温もり] 90点

大傑作。いきなり前作『ベルリン天使の詩』の冒頭をカシエルでパクりながら、同作の劇中でカシエルも全く同じことをしていたことに思いを馳せる。そして"金を積まれ
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.0

No.758[大天使は色彩豊かな人間世界の夢を見るか?] 80点

とりわけヴェンダースが苦手な母に睡眠導入剤として紹介されてから10年が経過し、その間特に睡眠に困ることがなかったので鑑賞することもな
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Petite fille(原題)(2020年製作の映画)

4.0

[彼女の名はサシャ] 80点

フランスで暮らす少女サシャは、体が男性であるがために自分を受け入れてくれない人々や環境に苦しめられている。それは家族も同様で、特に母親は"自分が女の子を望んだから"であ
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縮みゆく人間(1957年製作の映画)

3.5

No.321[核戦争の恐怖と父性神話の崩壊] 70点

第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を浴びた3年後の作品なので、放射性物質や原爆に対する恐怖が表れているのは明白だが、前年の『ビガー・ザン・ライフ』に
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オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

5.0

[昔々、東南アジアのどこかで...] 100点

圧倒的大傑作。東南アジア奥地の河畔にある小屋で暮らす白人男性オルメイヤー。"昔々どこかで"と場所も時代も明かされず、侮蔑的な意味での"マレーシア"とい
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It Felt Like Love(2013年製作の映画)

3.0

["大人"への憧れとその暴力的な反撃] 60点

砂浜で波を眺める少女。振り返ると、彼女の顔は日焼け止めで真っ白になっている。まるで仮面のように彼女の顔に貼り付いており、実際に仮面となって後に反復され
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コンドル(1939年製作の映画)

5.0

No.125[社畜飛行機野郎たちの仕事とロマンス] 100点

ワーカホリックな飛行機野郎が戦争映画ばりの男臭い仲間意識とハードボイルドな仕事への終着を見せつける"お仕事映画"とロマンス映画を巧妙に混
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オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(1966年製作の映画)

4.0

No.440["馬をも潰す肉の塊"] 80点

笑顔が素敵な"馬をも潰す肉の塊"ことフォルスタッフを中心に、彼の放蕩生活を彩る個性的なメンバーとの日々を綴る。シェイクスピアの『ヘンリー四世』では魅力的
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.5

["別々の道を歩み出す前のある瞬間にめぐりあう3人の人間"について] 70点

女性版シラノ・ド・ベルジュラックと呼ばれているらしく、確かに代筆という手段であれ世間的に言う"コンプレックス"を抱えた主
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孔雀夫人(1936年製作の映画)

3.5

No.101[アメリカ人の鬱屈した欧州への憧れ] 70点

自動車会社で富を得た真面目な夫サムと、欧州文化に憧れてアメリカを軽蔑する無知で奔放な妻フランの過激な対比は、そのまま当時のアメリカ人の鬱屈し
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Uppercase Print(英題)(2020年製作の映画)

5.0

[ある抗議文から紐解くチャウシェスク時代の欺瞞] 100点

1981年9月13日朝。ボトシャニの党本部の壁にチョークで書かれた文章が発見される。友好国ポーランドには"連帯"があって、我々と同じ食糧難
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赤死病の仮面(1964年製作の映画)

3.0

No.425[クラリスポジのジェーン・アッシャーがダサカワ] 60点

『アッシャー家の惨劇』から続くエドガー・アラン・ポー原作シリーズの七作目。コーマン作品で唯一の選出。『アッシャー家の惨劇』以降映
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U・ボート(1981年製作の映画)

3.0

No.670[潜水艦の中で過ごす濃密な時間] 60点

観終わって一言目は勿論"なげえよ"だったが(観たのは209分版)、横長の空間を長回しで切り抜いた閉塞感だけは格別で、爆発に寄る揺れや時化による船
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音楽ホール(1958年製作の映画)

4.9

No.338[旧世代最期の輝きとその壮麗なる落日] 99点

オプー三部作によって国際的名声を得たレイだったが、自国では全くヒットしなかったようで、ならば自国でヒットする映画を撮ろうと製作されたのが本
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Z(1969年製作の映画)

4.0

No.497[Z氏は生きている…その遺志が…] 80点

大変不謹慎なことを言ってしまえば、2013年の生誕80年を記念して廃盤になっているソフトが復活するだろうとオデッサ少年は考えていたのだが、そん
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ジュ・テーム、ジュ・テーム(1968年製作の映画)

5.0

[記憶の曖昧さと発作的時間旅行] 100点

圧倒的大傑作。ゴダール『アルファヴィル』、トリュフォー『華氏451』に比べると、1968年という特殊な年に生まれたばかりに興行も失敗して不遇の扱いを受ける
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さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

2.0

[さらば、ゴダールよ] 40点

『イメージの本』同様、この映画を楽しそうに編集している姿を想像できないが、本人が楽しければそれでいいと思う。我々にとやかく言う権限はない。最近は簡単そうに見えるこれら
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ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)

3.0

[見下ろす神と見上げる人民、その間を結ぶのは] 60点

日本で作品がまとめて手に入る現代ハンガリー映画の貴重な存在であるが、そのアクセスのしやすさによって逆に嫌煙してきた監督ムンドルッツォ・コーネル
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(2017年製作の映画)

3.0

[私に見えるのは光ではなく顔] 60点

初河瀨直美。初長編『萌の朱雀』でカメラドールを受賞して以降幾度となくカンヌ映画祭に登場して私の行く手を阻む天敵だが、グズグズしているといつまで経っても終わらな
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

2.0

[過去作を自己引用しただけのファン向け映画] 40点

まぁハネケだし絶対ハッピーエンドにはならないんだろうなとは思っていたが、実際やってきたのはヌルめのハッピーエンドで苦笑してしまった。カレーの大豪
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クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.5

[大雨のエヴァグレーズには手を出すな!] 70点

シンプルに面白い。5年前に『ハイテンション』を観て以来のアジャ作品だが、開けてビックリ、昨日呑み会で登場したアーノルド版『嵐が丘』のカヤ・スコデラー
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アントニオ・ダス・モルテス(1969年製作の映画)

4.0

[神に見放された男は遂に伝説へ] 80点

ブラジル北西部セルタンを舞台にした現代のウエスタンということで、多分フィリオ&ドネルス『Bacurau』の元ネタの一つだろう。同作でも意識されていた義賊(カ
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ジョアンナ(1968年製作の映画)

2.0

[おませなキャンディはギャングの恋人になる] 40点

五月革命によって中止されたカンヌ映画祭を擬似的に復元して勝手に審査員をやる企画をマイペースに進めているところだが、意外にも入手が簡単な作品が多く
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放送(1968年製作の映画)

4.0

昨年末に掲げた今年の目標の一つが"テオ・アンゲロプロスの作品をそろそろ観る"だったのだが、全体的に長いというイメージなので嫌煙していた。同時に挙げたオリヴェイラとモンテイロの方が確実に長そうだが、結局>>続きを読む

True History of the Kelly Gang(原題)(2019年製作の映画)

1.5

[とある義賊の伝説解体] 20点

世界初の長編映画と言われているのが1906年に発表されたチャールズ・テイトによるオーストラリア映画『The Story of the Kelly Gang』である。
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Possessor(原題)(2019年製作の映画)

3.0

[クローネンバーグ版"攻殻機動隊"] 60点

『アンチヴァイラル』に続くクローネンバーグの監督二作目。いきなり自分の頭の天辺に長めの電極を刺して痛そうにしている女性が登場し、彼がデヴィッド・クローネ
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大恋愛(1969年製作の映画)

4.0

[可愛い秘書への夢と妄想と] 80点

1969年製作の長編四作目にして、初カラー作品。テーマは"妄想"であり、男女様々な登場人物の様々な妄想が映像で語られていく。エテックス演じる主人公は勿論、彼の結
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ロッジ 白い惨劇(2019年製作の映画)

1.5

[ジャックを起こすな子供たち] 30点

エイミー・アダムスとアイラ・フィッシャーが似ていることはよく知られていることだが、他にライリー・キーオとアリシア・シルヴァーストーンも似ていると密かに思ってい
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下層都市(1946年製作の映画)

3.0

[インディアン・ネオリアリズモの萌芽] 60点

インド映画として最初で(現状)最後のパルムドール受賞作品であり、世界的にインド映画の存在を知らしめた記念碑的作品。とは言ってもこの年はパルムドールが1
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Dark Waters(原題)(2019年製作の映画)

3.0

[ちょっと薄めた『エリン・ブロコビッチ』] 60点

マーク・ラファロの増量演技もアカデミー賞からカン無視されてしまったトッド・ヘインズの最新作。化学企業の廃棄物汚染についての訴訟とくれば『エリン・ブ
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アメリカン・ハニー(2016年製作の映画)

5.0

人に物を売るのは絆を作ってからだ、というのを実践するかのように、映画は長い上映時間を使ってじっくりと人物たちの、そして我々と人物との関係を紡いでゆく。狭い世界で、自分のために生きてきた主人公スターが、>>続きを読む

Papicha(原題)(2019年製作の映画)

4.5

[アルジェリア、失われゆく自由を求めて] 90点

1990年代はアルジェリアにとって大きな闇の時代であるが、特に1997年は悲惨な年だった。政府側とイスラム過激派の衝突が一般市民にも波及し、多くの犠
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嵐が丘(2011年製作の映画)

5.0

[五感で感じる『嵐が丘』] 100点

これまで『嵐が丘』は散逸してしまった A.V. Bramble のサイレント版(1920年)に始まり、ウィリアム・ワイラー、ルイス・ブニュエル、ジャック・リヴ
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