KnightsofOdessaさんの映画レビュー・感想・評価

KnightsofOdessa

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映画(2040)
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ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.0

[] 80点

バフティヤル・フドイナザーロフ長編三作目。冒頭から躍動する馬に『砂丘』ばりのセスナ低空飛行と大興奮。ひたすら乗り物が沢山出てくる映画であり、最終的には空想の乗り物から空想上の乗り物まで
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海を待ちながら(2012年製作の映画)

3.0

[] 60点

バフティヤル・フドイナザーロフ長編六作目。1940年代に綿花栽培のために始まったアムダリヤ川とシルダリヤ川の灌漑事業によって、アラル海は急速に面積を縮小していき、半世紀で1/10ほどに
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とにかく見にきてほしい(2022年製作の映画)

3.5

[スペイン、田舎の家を見に来てよ!] 70点

ホナス・トルエバ監督最新作。チャノ・ドミンゲスによる生演奏で幕を開ける本作品は、ある二組のカップルのポートレイトである。コロナの影響で久しぶりに再開した
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雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.0

[] 80点

ロバート・アルトマン長編三作目。若くして両親を失ったまま、彼らが属していたコミュニティに残り続ける拗らせ箱入り娘フランシスの物語。濡れた靴を乾かそうとオーブンに入れたり、化粧が若干ケバ
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Kolnati sme, Irina(原題)(1973年製作の映画)

4.0

[マケドニア、割れた鏡と堰き止められた小川、そして溢れ出す愛] 80点

北マケドニア映画史上最高傑作との呼び声高い名作。人里離れた森の小屋に若妻と父親を残して若い息子は兵役のために村を離れ、残された
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A Well for the Thirsty(英題)(1965年製作の映画)

4.0

[ウクライナ、生命の泉と記憶の行脚] 80点

ユーリー・イリエンコはウクライナで最も有名な映画監督だったが、映画内に現れるシンボリズムが反ソ連的として一般上映は尽く禁止されてきた。本作品は、彼が撮影
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Music(英題)(2023年製作の映画)

4.5

[人間に漸近する神話のイデア] 90点

大傑作。2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。アンゲラ・シャーネレク長編九作目。前作『家にはいたけれど』では『ハムレット』を換骨奪胎して現代の物語に組み
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楽日(2003年製作の映画)

3.0

[] 60点

2003年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。全台詞のほとんどが上映されている『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』の台詞で、最初の台詞まで45分かかるという静かな映画。古い映画館の閉館の日
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幻影(2005年製作の映画)

4.5

[ベルリンを彷徨う三人の女たち] 90点

大傑作。2005年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。"幻影"三部作の第二篇。ニナはベルリンの福祉施設で生活する10代後半の少女。ある日、公園でゴミ拾いのボラ
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アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

3.0

[] 60点

2013年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ジョナサン・グレイザー長編三作目。デジタルで作った『2001年宇宙の旅』みたいなアバンタイトルで爆笑してしまった。極めてA24っぽい思わ
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Enys Men(原題)(2022年製作の映画)

4.5

[イギリス、絶海の孤島に襲い来る過去と未来] 90点

大傑作。マーク・ジェンキン長編最新作。前作『Bait』が好評だったため、北米配給権をNEONが購入するという大出生を遂げ、ファンとしては嬉しい限
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夜のロケーション(2022年製作の映画)

5.0

[イタリア、何もできなかった人々の物語] 100点

超絶大傑作。1978年3月16日、イタリア元首相アルド・モーロは誘拐された。彼が推し進めていた共産党との連立政権の信任投票が行われる、歴史的な日の
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日記(1982年製作の映画)

3.5

[メーサーロシュ・マールタの壮絶な少女時代] 70点

1984年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。メーサーロシュ・マールタ長編13作目。"日記"四部作の第一篇。『マリとユリ』や『Just Like a
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ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

3.0

[ハンガリー、代理出産と混じり合うアイデンティティ]

1980年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。メーサーロシュ・マールタ長編十作目、初の時代劇。メーサーロシュ・マールタ特集上映配給のライトフィルム様
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Meandre(原題)(1966年製作の映画)

4.5

[ルーマニア、鉛筆の宮殿を建てましょう] 90点

大傑作。戦後ルーマニア映画の黎明期に活動を開始したものの、長編劇映画を四本しか残せなかった偉大なる映画作家ミルチャ・サウカン(Mircea Săuc
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empty(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

中嶋駿介監督新作短編上映会にお呼ばれしたのでありがたく鑑賞。映画は正方形の画面の中心で、呆然とするアズサのショットから始まる。彼女の目線の先にあるカメラはゆっくりと引いていき、そこが診察室であると分か>>続きを読む

処女(2001年製作の映画)

3.5

[] 70点

2001年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。カトリーヌ・ブレイヤ長編七作目。15歳のエレナと13歳のアナイスは姉妹。愛憎混じり合う目線を投げ合う二人は、スリムでゴージャスな姉と平凡で太
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肉体の悪魔(1986年製作の映画)

4.0

[社会に幻滅した同時代の若者たちについて] 80点

マルコ・ベロッキオ長編十作目。学校最上階を鳥瞰で捉えたショットの端から、屋根伝いに女が侵入してくる。教室の中からのショットに切り替わっても、女は窓
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Milkman in Mäeküla(英題)(1965年製作の映画)

4.5

[エストニア、欲に目が眩んだ男たちの末路] 90点

大傑作。レイダ・ライウス(Leida Laius)初長編作品。エストニアの大作家エドゥアルド・ヴィルデ(Eduard Vilde)の最高傑作とも称
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帰れない山(2022年製作の映画)

3.0

[イタリア、父親を透かし見るグロテスクな友情物語] 60点

2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。パオロ・コニェッティによる同名小説の映画化作品。映画化にあたって、監督二人はイタリア語を習得した
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ポゼッション(1981年製作の映画)

3.5

[] 70点

1981年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。アンジェイ・ズラウスキ長編四作目。彼の作品はどれも超絶高カロリーなので心理的ハードルがめちゃくちゃ高いのだが、今回は意を決して観てみる。登場人
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追想のオリアナ(1984年製作の映画)

3.5

[ベネズエラの"エル・スール"は女性の普遍的な戦いを描く] 70点

1985年カンヌ映画祭カメラドール受賞作、フィナ・トレス長編一作目。オリアナが亡くなった。その報を受けた姪のマリアは、幼少期に少し
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無限の広がり(2022年製作の映画)

4.0

[] 80点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。エマヌエーレ・クリアレーゼ長編五作目。1970年代イタリアはローマ、空き地に面したマンションに暮らす一家は分裂気味だった。主人公のアドリ
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

2.0

[The Soulless Bros. Movie!] 40点

批評家が貶しただのなんだと毎日元気に炎上しているめんどくさい映画(批評家の評価とか欠片も気にならんのだが、騒ぎ立てて振り向いてほしいの
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夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)

4.5

[] 90点

大傑作。マルコ・ベロッキオ長編18作目。1978年3月16日、イタリア元首相アルド・モーロは誘拐された。当時のイタリアは極右と極左のテロ組織による衝突が断続的に続く"鉛の時代"という重
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警官ジジのアドベンチャー(2022年製作の映画)

2.0

[やる気のないイタリア版『プティ・カンカン』?]

アレッサンドロ・コモディン長編三作目。前二作がアピチャッポン志向で、前作は特に『トロピカル・マラディ』を恥ずかしげもなく丸パクリした映画だったので、
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Revoir Paris(原題)(2022年製作の映画)

4.5

["手を握っていてくれて、ありがとう"] 90点

大傑作。アリス・ウィンクール長編四作目。物語自体は監督の兄が生き延びたという、2015年に発生したバタクラン劇場襲撃事件に着想を得ている。夜のビスト
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蟻の王(仮題)(2022年製作の映画)

2.5

[] 50点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ジャンニ・アメリオ長編最新作。1960年代、ホモフォビアの蔓延するイタリアで、教え子の青年エットレと恋に落ち、教唆罪で有罪になった詩人で
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遺灰は語る(2022年製作の映画)

3.0

[兄ヴィットリオ・タヴィアーニに捧ぐ物語] 60点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。兄ヴィットリオ・タヴィアーニ亡き後に弟パオロの撮った一作。ノーベル文学賞受賞者ルイジ・ピランデッロの遺
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キアラ(2022年製作の映画)

3.0

[私たちは孤独、でも一緒] 60点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。1211年、貴族の子女だったキアラは修道僧フランチェスコのもとへと逃げ、そこから彼の活動を中心的に手伝うようになる
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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作の映画)

3.0

[恐怖と消費の一大キャンペーン] 60点

2002年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。冒頭から口座を作ったらその場で銃をくれる銀行に銃弾を売ってる床屋巡りと流石のイカれっぷり。90年代アメリカは93年
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The Line(英題)(2022年製作の映画)

3.5

[スイス、トキシックな家族関係について] 70点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ウルスラ・メイエ長編五作目。マーガレットは35歳になるが、感情のコントロールが出来ない。一方、彼女の母親
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

4.0

[チェコ、私を拒絶した世界へ] 80点

傑作。トマーシュ・ヴァインレプ&ペトル・カズダ長編一作目。1970年代初頭のプラハにて、オルガは自宅と精神病院を行き来する生活を続けている。家族、特に母親との
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

4.5

[] 70+20点

去年の大阪アジアン映画祭で上映された際に、"主演の子、絶対オデッサくんの好みだよ"と言われてエンカウントを心待ちにしていた一作。確かに、どストライクです(どんだけ分かりやすいんだ
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マリとユリ(1977年製作の映画)

4.5

[ハンガリー、互いに手を差し伸べあうシスターフッド] 80点

大傑作。メーサーロシュ・マールタ長編七作目。メーサーロシュ・マールタ特集上映配給のライトフィルム様よりご厚意で試写を観せていただく。役者
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Dáblova past(原題)(1962年製作の映画)

4.0

[白い粉挽き職人と黒い聖職者] 80点

傑作。フランチシェク・ヴラーチル長編二作目。『マルケータ・ラザロヴァー』『ミツバチの谷』へと緩く連なる中世三部作の第一作。三作品に共通しているのはヴラーチルの
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