似太郎

ゴッドファーザーの似太郎のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.6
言わずと知れたコッポラによるアメリカの裏面史を描く大河ドラマ。どのサイトでも高評価なのでちょっと納得出来ない箇所もあるのだが…?

やはりマーロン・ブランドが主演した一作目が一番出来が良いと感じる。PART 2は普通。PART 3は正直、要らないと思う。

本来汚いマフィア社会を如何にも美化して描いてるので、ホンモノのマフィアと付き合いのある底辺層出身のマーティン・スコセッシが本作に反発したのも良く分かる。

『暗黒街の顔役』みたいな暴力的でエグい世界を恰もルキノ・ヴィスコンティみたいな耽美的、芸術的に仕立てた所が巧妙でそこが鼻につくと言えば確かにそうかも知れない。色々あざとさを感じる。

権力志向、父権主義なテーマは弟子ルーカスの『スターウォーズ』にも受け継がれている。要するに本作はアメリカ版『巨人の星』というべきタカ派映画であり、典型的なマッチョイズムが根底に流れている。⚾️🔥

私が本作に然程、共感し切れないのはむしろそこにある。たしかに演出は凄いのだけれど、スコセッシの『アイリッシュマン』のような下層階級からのリアルな視点はほぼ無い。全てにおいて観念的、空想的…。

映画史上に残る大傑作だとは思うが、人間の真理を描いたモノとは程遠い。アル・パチーノよりも血の気の多い兄役のジェームズ・カーンが良い味。何気に脇役が充実している作品。
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