内なる炎を燃やしてきたロッキー。素質を持ちながらも生きるためゴロツキに成り下がっていた。しかし、自身がクズでないことを証明するために立ち上がる。
チャンピオン対ロッキーの構図はクイズミリオネア。スタローン自身の半生を振り返るように、ロッキーをならず者の挑戦者として終始演出され、そしてスタローンの心の内の愛情深さはロッキーを引き立てている。
チャンピオンの実力を何ひとつ持ち上げないまま試合まで持ち運ぶ様は大衆感覚をうまく表現しているのではないだろうか。遠い存在の憧れには幻想しか持ち得ず実際の強さなど大衆には分からないものだ。
世代的に触れる機会がなく、ロッキー映画というものをTVを通じて“間接的に”聞いてきた身としては、「ロッキー=孤高」であったのでかなりの衝撃があった。愛に富み、周囲と支えあい生きてきた人格者だったからだ。