ひる

無言歌のひるのレビュー・感想・評価

無言歌(2010年製作の映画)
4.2
ワンビンの劇映画と聞いてどんなもんかと想像していたが、形式的/美学的にはいつも通りのワンビン作品だった。しかし、さほど空間を割らないワンビン作品において、訃報を受けた者が力の限り涙を流すと同時にショットを切り返す瞬間ほど恐ろしいものはなかった。もちろんネズミの死体を焼いて食べたり、仲間の吐瀉物を拾い集めて口に入れたりと文字に起こすだけでも吐き気のする描写も凄まじかったが、それ以上にあの"切り返し"という編集上の行為によって被写体の役者としての身体性までもが唐突かつ異様にクロースアップされ、ワンビン作品内で度々語られてきた反右派闘争の話が肉付けされたような気がしてならないのだ。
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