菩薩

子供たちをよろしくの菩薩のレビュー・感想・評価

子供たちをよろしく(1984年製作の映画)
4.0
カネフスキー『ぼくら、20世紀の子どもたち』を想起せざるを得ないストリートチルドレンの肖像であるが、それに比べればより子供らしさが顕著に出ている様に思えたし、皆一様に親の愛情を求め、それを得られないが為の衝動を他者に向けようと必死に見える。『ぼくら〜』が予め意図された展開に進むのとは対照的にこちらは悲劇的な結末へと向かっていくが、まぁそうじゃないと終われないよねと一歩引いてしまった自分に絶望した。出て来る親が揃いも揃いって毒親なので再び『存在のない子供たち』のゼインの「育てられないなら産むな!」を引用せざるを得ないが、彼等もはなからそうであった訳ではない…なんて擁護はこの際無意味であろう。刑務所での父親との面会シーン、煙草は身体に悪いからと諭す一方で自ら火を付ける父親、お前の為に!お前を愛しているから!はDV野郎の常套手段、子供の亡骸を前に涙を流す彼の中に「自分が殺した」との後悔は果たしてあるのだろうか。おそらくゴミ箱から掻き集めて来たであろうボロボロファッションがまんま後のグランジファッション、ここはそれ以前のシアトル。
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