作品の完成度と普遍性!
本作が公開当時、大コケした事は有名な話だ。ブームはスターウォーズの影響を受けSFによっており、SF色の薄いルパンは人気がなくなりつつあり、さらに本作ルパンは原作のモンキーパンチさんの描くルパン像よりも、宮崎さん解釈がされたルパンであり、当時はこれはルパンではないとも言われていた。(劇画的ではないのが本作)
だが、結局のところ本作は後年宮崎作品が受けたことによって再評価された作品である。
それは結局のところこの作品が持つエンターテイメント性がしっかりしていたからだと言える。まず、掴みの国営カジノに盗みに入るシーンから車での逃走シーンのあの三分間で一気に引き込まれる。偽札を豪快に捨てるシーンなんかとても良い。
そしてそこから美女が単身で爆走する車と後を猛スピードで追う男達というシーンに出くわしてからのカーチェイス!!
勢いそのままに素晴らしい絵作りをしている。本当にアニメならではの躍動した演出が光る。
そこから美女を一旦は救出するが……というのが話の流れで、構造的にはかなりシンプル。つまり騎士道物語的な姫と騎士とドラゴン(伯爵)という構造だが、その王道を見事にこなしているから素晴らしい。(それがルパンらしくないと言われるわけでもあるが……)
その後、姫を助けるために悪戦苦闘し、時にはアニメ的躍動感ある展開を繰り広げ、姫に会う。ここで、自分は騎士ではなく泥棒だと言うのがなんとも言えない。(決して誇れる人間ではないと言うこと)
ここから、完全に宮崎ワールド炸裂のアクションスペクタクルになっていくが、そこが良い。
ありとあらゆる困難を鮮やかにクリアしていく、ルパンはカッコいい。
いつものメンバーの活躍もしっかりと描きながら、悪の伯爵との決闘は見事だし、蘇るお宝の素晴らしさとアイデアは抜群。
そして、姫との別れのシーンのあの抱きしめ返したいが、それは許されないあの感じの漢気が溢れる感じからの、銭形の映画史に残る名台詞。カッコ良過ぎる。
今後のルパンの描き方にも影響を多大に与えた作品で、初期の作風が好きな人には甘過ぎる映画かもしれないが、後の評価はルパン史上最高傑作という事になっている。(ビデオ・DVD等の売り上げ的には)