垂直落下式サミング

新・13日の金曜日の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

新・13日の金曜日(1985年製作の映画)
3.5
クリスタルレイクの惨劇から数年後、孤児となり姉とも引き離されたトミーは、ジェイソンに襲われた経験がトラウマとなり、18歳になってもその悪夢から逃れられず、精神病院を転々としていた。そんな中、森の中にある精神病院で暮らすことになったトミーだが、周囲でジェイソンの犯行と思われる猟奇的殺人事件が発生しはじめる。人気ホラーシリーズの第五作目。
PART2~PART4のジェイソンによる連続殺人事件は、約一週間のうちに引き起こされたが、トミーによってジェイソンの命が断たれたので、本作は前作と時世が大きく開いている。
前作では走っていたジェイソンだが、本作からノシノシとゆっくり歩いて追いかけてくるようになる。ここで「ジェイソン」の怪物的イメージがようやく固まった感じ。
遠くからジェイソンがこっちを見ている怪奇なシーンは、カーペンターの『ハロウィン』に寄せていると思われる。今回は過剰になりすぎたスプラッター要素を抑え目にして、一作目と同じ『サイコ』を意識した一人称視点によって殺人をとらえることで、今一度サイコホラーに立ち戻ろうとしているが、犯人の主観映像だとホッケーマスクが写らないため、キャラクター映画としては些か不満は残る。
トミー青年は普段はおとなしいのに、ケンカを売られると怒りに任せて人をボコボコに殴るパワー系メンヘラ。彼がジェイソンのコピーキャットに立ち向かうことで、トラウマを克服してゆくわけだが、ラストはトラウマの克服による恐怖の駆逐というよりは、心の闇に飲み込まれたと解釈することができる。これは後の続編のストーリーとは矛盾するため、無視していいかもしれない。