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The Fix(原題)
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『The Fix(原題)』に投稿された感想・評価

3.0
The Fix(2026)
6/10

監督:ガイ・モシェ
出演:ザカリー・リーヴァイ、リーアム・ニーソン、ヌーマン・アチャル、ウェス・チャサム、タイタス・ウェリヴァー、ナヴィド・ネガーバン

CIAの敏腕工作員タッカー(リーヴァイ)は、上司ラリー(ニーソン)の指揮のもと、アフガニスタンの首都カブールから現地協力者を救出しようとして失敗し、CIAから干されてしまう。

その後、ラリーは認知症を発症し、かつてイランで行った工作の失敗をうわごとのように口にするようになる。それをきっかけにタッカーはイランへ向かい、過去の任務の後始末をすることになる。そのためには、元CIA協力者の娘で、イスラム革命防衛隊の追及から身を隠している民主化運動家を西側へ脱出させなければならない。

リーアム・ニーソンの映画を観ることが、もはや義務のようになっている人は少なくないと思う。近年は酷い作品も多く、観続けるのが辛い。最近は老いを前面に出した役柄も増え、今回も認知症を発症したということで、またかと思ってしまう。

ところが、実は認知症は見せかけで、元部下に無理やり仕事をさせるための芝居だったという。近年のニーソンのフィルモグラフィを知る観客ほど騙される仕掛けで、リーアム・ニーソンのフォロワーでなければ成立しないようなメタ構造になっている。これはなかなか面白い。

テーマとしては重要な問題をいくつも扱っている。アメリカが現地協力者を利用しながら、その後の安全を保障せず、見捨ててしまうことがあるという問題。ラリーはそのことを後悔しているようでいて、結局は組織の論理に忠実であり続ける。CIAに入った以上、人間性を捨てなければやっていけないという彼の言葉には重みがある。

ラリーは組織の目的を果たすために認知症のふりまでして家族や元部下を欺く。一方、タッカーはCIAという人間性を失いかねない組織から妻子を守るため、あえて家族と距離を置いている。組織と個人、仕事と家族という問題を、対照的な二人の工作員を通じて描いているわけだ。

また、女性に抑圧的な体制のもとで、その体制の理念に共鳴し、協力する女性の存在も興味深い。単純な善悪や被害者と加害者の図式に収まらない、掘り下げがいのある題材である。

これだけのテーマを用意しておきながら、肝心の演出が弱いのが惜しい。

イランでの活動に、監視や弾圧の厳しい国家に潜入しているという圧迫感が乏しく、脱出の困難さもあまり伝わってこない。『アルゴ』では、街頭での処刑や群衆の様子、空港での尋問などを通じて、国家そのものが巨大な脅威として描かれていた。本作では、革命防衛隊による日常的な監視や暴力を感じさせる場面が少なく、ナヴィド・ネガーバンひとりにイスラム革命防衛隊の恐ろしさを背負わせているようなもので、どうにもスケールが乏しい。

もちろん、公開処刑や銃殺の場面を増やせばよいというものではない。どこに監視の目があるか分からず、誰が密告者かも分からない。そうした社会の息苦しさが描かれてこそ、現地協力者を救出することの危険性や、そこに暮らす人々の葛藤にも説得力が生まれるはず。

ザカリー・リーヴァイは『シャザム!』の子どもっぽいイメージが強かったのだけれど、今回は仕事のために妻子と距離を置く父親として、人間的な奥行きのある工作員を好演している。ニーソンも含め、俳優たちは悪くない。

映画として真面目に作られていることは伝わるし、題材にも人物設定にも十分な魅力がある。リミテッドシリーズにして、それぞれの人物の背景やイランの社会状況をもっと緻密に描いてもよかったのではないか。

これだけの材料がありながら、演出の力が及ばず、凡庸なスパイアクションに収まってしまった。特に好演したリーヴァイには、気の毒な結果だったとしか言いようがない。
テツ
3.5
凄く手の込んだストーリーで面白かった。

ラストまでどんでん返しの繰り返しです。