しゅう

明日、君がいないのしゅうのレビュー・感想・評価

明日、君がいない(2006年製作の映画)
3.8
 あまりに鮮烈に真実の一面を切り取った映画だった。正直言って映画としては完成された傑作って感じではないし、心情描写についてもなんか期待を超えてこない感じなんだけど、それでも観終わった後には、ああこれは凄まじい映画だな、絶対二度と忘れないだろうな、と思わせる力がある。衝撃を受けるのに、悲しいはずなのに、それでも明日になったらまた「それ」を見ずに生きていってしまうんだという空虚な痛み。わたしはわたしが一番かわいいんだと自分で意識してしまうときの絶望。これは十代のときに観たら、一日毛布に包まって転がっていたのではないか。
 この映画を観る人が全員自分の一部を受容される場所を持っていることを祈る。友人たちにとってそれがわたしであるなら幸いだ。ただ、今そういう場所がないからといって、この世に居場所が一つも存在しないという訳ではないということも併せて知っていてほしい。
しゅう

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