新田次郎先生の珠玉の一作の映画化
あの “ 新撰組 ” の中で激動の時代を熱く
駆け抜けた男の物語です
奥州･盛岡藩において清貧に苦しむ下級
武士の吉村は家族を養う為意を決して
脱藩、京へ向かい壬生に屯所を置いて
いた新撰組へ身を寄せる
中堅監督だった滝田洋ニ郎を飛躍させて
邦画界の牽引役にまで押し上げる原動力
となった名作
W主演の中井貴一さんと佐藤浩一さん
対極と思える性格ゆえに衝突する意地が
やがて友情へと変わる難しい関係の二人
を熱演してくれてます
他にも堺雅人さん塩見三省さんや三宅裕司
さんらががっちり脇を固めて隙なし！
盛岡を愛し誇りを持ちながら脱藩せざる
を得ない境遇だった吉村、温厚で人当たり
の良い性格ながら腕のたつ彼は“ 守銭奴 ”
と蔑まれながらも必死に藩に残した妻子の
為に人を斬り続ける
侍としての矜持に誇りを持って新撰組に
死地を求める孤高の男斎藤一にとって
吉村の生き様は無様に映った…
壬生の狼と恐れられた新撰組だが時代の
流れには抗えず「鳥羽伏見の戦」以降は
敗走が続く、焦燥しきる隊士を鼓舞する
吉村だったが迫り来る官軍を前にし
単身で迎え撃つのである
その一方で死に場所を求めていた斎藤は
動乱の時代を生き延びてしまう
老いた斎藤が病んだ孫を連れて町医者を
尋ねたのがこの物語のプロローグです
そこで出会った人物とその人から語られる
歴史に翻弄された一人の侍の最後の様子に
胸が熱くなります
満身創痍の吉村が最後に頼ったのは
旧知の友である大阪の藩邸を任される
差配役の大野だった
官軍の追手が迫る中で役職の立場と友情
の板挟みに苦しむ大野は助命を願う吉村
に対して断腸の想いで “切腹 ” を命ずる
しか道はなかった
ここでの中井と三宅二人の演技は秀逸！
今作が公開される前年にはTVドラマも
放送されていて、そこでは吉村を渡辺謙
斎藤一に竹中直人という配役でした
