近本光司

シブがき隊 ボーイズ&ガールズの近本光司のレビュー・感想・評価

1.0
伊豆の海をほとんど撮らないのはなぜか。海水浴のシーンでも、海のほうから砂浜に抜けるショットはあっても、海を一望するようなショットはなかった。アイドル映画という性格上、「ひと夏だけのメモリー」を過ごす舞台は景勝地よりも没個性的な土地のほうが望ましいのだろう。同様に脇を固める女の子たちはフツーの子のほうがよいのだろう(かたせ梨乃は20代半ばにしてあの貫禄。笑ってしまう)。日本全国のシブガキ隊のファンは、この映画をつうじて推しのアイドルと疑似恋愛を体験し、もしあの3人が自分の住む街にやってきたらと妄想を膨らませたのかもしれない。自主制作を経て、映画監督としてデビューしたばかりの森田芳光のもとに舞い込んだ商業映画2本目の仕事。ジャニーズの人気絶頂のアイドル映画、さぞかし制約は多かったにちがいない。いくつかのアイデアを試す様子は窺えたが(畳のあみだくじはおもしろい)、ナンセンスに振り切るでもなく、カルト的な魅力からもほど遠い。同種のアイドル映画であれば、『おニャン子・ザ・ムービー 危機イッパツ!』のほうがよほど見どころがある。薬丸がまったく鼻持ちならない人物であるということを再確認できたことはよかった。