プロパガンダ、といってもやはり木下恵介、好戦的なことはしない。消極的なプロパガンダ、つまり「反戦と言わせない」ムードをソフトに醸成する。地域の共同体の日常のあれこれに「銃後」の雰囲気をダイレクトに纏わせはしないが、「戦争反対などということにはなりそうにないような地域共同体」をフィクションとして提出する。そして人情ドラマ仕立てにすることで、そのような共同体への愛着が同時に観客に伝染するのだ。
技術的には冒頭、流麗な横移動なんかを駆使して登場人物をリレー形式で出していくあたりが凄かった。でも全体として話は別に面白くないんだわ。