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Russian Symphony(英題)
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『Russian Symphony(英題)』に投稿された感想・評価

ロプシャンスキーによる「Apocalypse Quartet(黙示録四部作)」の第三作目。

第一作『死者からの手紙』や第二作『ミュージアム・ヴィジター』と比べても、とりわけ宗教的かつ寓話的なナラティブ構成になっている。ポスト・ソ連のロシアを舞台に、洪水による終末と「最後の審判」を重ね合わせながら、現実と幻想、現在と過去が次第に混線していくが、なにより衝撃的なのはその歴史の混線っぷり。
ソ連崩壊後のロシア社会を軸にして、過去のロシア史や宗教的イメージ、民衆の熱狂までもがごった煮になり、終盤にはもはやロシア史全体が終末のスペクタクルを形成しているかのような光景へ突入する。まさしくタイトル通りではあるが、歴代ロシア軍まで入り乱れて最終決戦を始めるあたりはさながらロシア版『アベンジャーズ』である。

映像においては前作『ミュージアム・ヴィジター』から引き続いて、強烈な赤〜セピアの照明と色調が継承されている。そこに洪水や雪、群衆、正教的なモチーフが交錯し、現実のロシア社会がそのまま終末の幻視へと変貌していく様はかくも美しい。

Letterboxdでは“a true schizophrenic’s paradise(真の統合失調症患者の楽園)”なんて言われようでさすがに笑ってしまった。統失アベンジャーズ、常に誰かが怒鳴ってるしあながち言い得て妙かもしれない。
3.3
Russian Symphony 1994年作品
 6.5/10
コンスタンティン・ロプシャンスキー監督
ヴィクトル・ミハイロフ アレクサンドル・イリイン
キラ・クレイリス=ペトロヴァ ヴァレンティナ・コヴェル
ミハイル・フラブロフ ヴァレンティン・ゴルベンコ
ナタリャ・アキモヴァ ノラ・グリャカロヴァ
アレクセイ・インゲレヴィチ ニコライ・レヴィキン
ヴァレリー・ガーカリン アンドレイ・クラスコ
 ロプシャンスキーの当初の黙示録三部作の完結編で『死者からの手紙』
(1986年)や『ミュージアム・ヴィジター』(1989年)に続く最後の作品。
(ただし『アグリー・スワン』(2006)まで含めて「黙示録四部作」と呼ぶ
整理も)
 巨大な水害で社会が崩壊しているロシア。主人公であるロシアの知識人は、
寄宿学校で溺れている孤児の子どもたちを救うために、政府や、皆に
助けを求める。しかしながら、混乱した社会では皆が自分のことしか
考えられず(主人公に理解を示した後にウォッカ飲む)、救済が進まない。
主人公はロシアの歴史の有力者を集めるが、いつの間にか自己が肥大化して
子供達を救うという目的を見失ってしまう。
 黙示録の濃度としては米ソ冷戦時代の死者からの手紙の核の恐怖は
なくなってしまい、ソ連が存在していた冷戦構造に由来する恐怖だった
という皮肉を感じるが、本作の1994年はロシアにとってはソビエト連邦
崩壊後の混乱と移行期にあたり、人々が点でばらばらに動いていて、
弱者を顧みないという、黙示録というより、緩慢な社会の死がテーマのようだ。
 現在社会の政治的思想的立場による断絶がいわれて久しいが、
本作のテーマが今日的なものになっている。
 途中でロシア史帝政・ソ連・正教・民族主義・西欧化・知識人・民衆が
ごった煮になって、交響曲というかとんでもないノイズになっている。