サド和尚

スターリングラードのサド和尚のレビュー・感想・評価

スターリングラード(2000年製作の映画)
3.6
ー或る独逸兵たちの会話(吹替)
「信じられん」
「何を見た」
「赤軍兵をだ」
「そりゃ、そこら中にいるからな」
「奴ら、銃しか持ってないやつと、弾しか持ってないやつしかいないんだ」
「連中も物が無くて大変なんだよ」
「しかも味方に馬鹿みたいに撃たれたり」
「敵前逃亡即銃殺。民兵でも当然だろう」
「英語で会話するんだ」
「…ちょっと待て」

大祖国戦争の最中、英語を喋るソビエト赤軍とドイツ語を喋るナチス独逸軍が激しく激突する都市スターリングラード。そこで伝説的な活躍をしたとされる狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフの姿を、友情の確執やご婦人の取り合いなんかを交えながら描く作品。まあ、英語で会話するスパルタ人とか中国語しか話せないエイリアンとかいった不思議な存在は、映画ではよくある事です。
これはスターリングラード次元のお話と思って気にしないでおきましょう。

ジュード・ロウさん演じるヴァシリの泥水と死体に塗れながらの頑張りとか、戦地にお家があるので帰宅するシーンがあったり、スナイパー・ロン・パールマンとか、ヒロイン役とのエラい状況でのラブシーンとか、この映画ならではの要素も。
しかし何より兎に角に、エルヴィン・ケーニッヒ少佐の怪しき双眸をご覧ください。演じるエド・ハリスさんのあの吸い込まれそうな青い瞳。アイスブルーとはこの事か。同様の眼色の俳優さんは数居ますが、ハリスさんのは何か特別。見て微笑むだけで敵を死なす空気を醸す強敵です。
ソビエトの歴史を多少むしゃむしゃした身の共産趣味者としては、同志ニキタ・セルゲイビチ・フルシチョフのビジュアルの再現度の高さも見逃がせません。なんだこれは生き写しか。ウラー!

始めは戦争映画ですが、途中からは決闘の様相が色濃くなってくる作風。まあ、史的には元から眉に唾っぽいところもある話ですので。ソビエトですからね。素直にスターリングラード攻防戦が観たいなら『スターリングラード大攻防戦』を…
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