このとき映画館にいた私を含めた観客たちは映画の中の「汽車の到着」を僧院に群がる修道僧のような厳粛な気持で息を吞んで待っていたに違いないのです。　ワオ・ㇵオウェイ「少女香雪（シャンシュエ）」

伸びていくレールが見事に画面におさまり、疾走中の汽車のアングルと車内の光景が程よく調和され、ホームに滑り込む様を少しのブレも見逃すまいと待ち望み、降りてくる乗客たちの中に「初恋」の車掌を探している。

人里離れた中国の山間に初めて開設された駅に無垢なる少女たちが都会への羨望と共に「汽車の到着」を心待ちにして群がるという「少女香雪（シャンシュエ）」という佳作のワンシーンです。

大阪天六ホールという、いかにも場末の映画館でスン・チョウ「心の香り」（これも秀作でした）ハー・ピン「女スパイ　川島芳子」（これもまた良かったんです！！）という「１９８９中国映画特集」という企画の一本で巡り逢えました。

上記の３本は全てこれだけの完成度ながら２０００年以後、どこにも話題に上がらないもんだから僭越ながら「何とかせねば！」という危機感から取り上げました。
レトロスペクティブ上映でも「中国映画回顧」というＤＶＤ発売でも、とにかくどんな売り込み方法でもよいから掘り出して２０１８年現在の若い世代の方々に観て頂くべきです！

上記の作品、一本でもご覧になったかたなら必ずや私の想いに偽りがないとわかって頂ける筈。

ぜひ、お口添えを！！