映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

yahoo映画にもグダグダ感想を記してます。

神戸市北区在住

映画(677)
ドラマ(0)

ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

4.5

サッカーW杯の対セネガル戦の余熱も醒めぬまま、アメリカ映画に飢えてペキンパーを観る サム・ペキンパー「ワイルドバンチ」

(アメリカン・ニューシネマ)というムーヴメントを追いかけるように観ていた筈の私
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ハメット(1982年製作の映画)

3.5

ひとりのドイツ人映画監督がアメリカ映画という名の墓標に供えた花は、いまだに枯れることなく、陰日向でそっと咲いているようです。
ヴィム・ヴェンダース『ハメット』'

真っ黒な画面にギターの弦を何かに擦ら
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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.1

足だけが持つ表情を、他ならぬ足そのものを断ち切る事で、唇や貌以上に、画面に響かせるブニュエルの偏愛 ルイス・ブニュエル「哀しみのトリスターナ」


表情を捉えるなら、顔や、声や、仕草を撮った方がよっぽ
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

5.0

「万引き家族」が称賛されている今こそ、「冬冬の夏休み」 が呈示する(映画)であることの神経過敏な境界線に触れてみよう

普通、映画は(映画好き)によって撮られている、と思います。

(思います)と述べ
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エバースマイル、ニュージャージー(1989年製作の映画)

3.9

たおやかな時間の流れも振り返れば疾走の渦中に居たようです。
カルロス・ソリン『エバー・スマイル・ニュージャージー』

日本公開は90年を過ぎたばかりの頃だと思います。
私は大阪 扇町ミュージアムという
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岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇(1997年製作の映画)

3.9

90年代は確実に(映画)を撮っていた彼に思いを馳せて 
三池崇史「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」

「Dead or a live」三部作や「漂流街」「オーディション」「天国から来た男たち」に特別
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ラヴ・パレイド(1929年製作の映画)

4.5

(隠れた名作)などと言う表現は固く禁じます エルンスト・ルビッチ「ラヴ・パレード」

陛下は如何にして性交を成功させるか?そんな主題に挑める作家なんて現在でも存在しない筈。
実際ルビッチが1920年代
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私の殺した男(1932年製作の映画)

4.3

(解放)か?いえ(開放)の魔術です。 エルンスト・ルビッチ「私の殺した男」

コメディが主流のルビッチ作品系譜ではいささか異質ですが既に「陽気な中尉さん」というとんでもない喜劇を発表し、後年(ドイツ生
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暗黒への転落(1949年製作の映画)

4.3

約70年前の映画をかくも新しく感じるという魔法 (太く短く生きて、キレイに死ぬ)まさにそんな映画です。ニコラス・レイ「暗黒への転落」

どんな芸術も時を味方にするのは難しい。
楽天主義が主流のような3
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夜の人々(1948年製作の映画)

3.9

ただ黙って夜のとばりの成り行きを見届けたくなる、そんな映画もございます。ニコラス・レイ「夜の人々」

多くの場合、初めて出会う人すべてと新たな知己を得るわけではないし、異性と出逢うたびに新しい恋に落ち
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サルバドールの朝(2006年製作の映画)

1.1

マヌエル・ウェルガ「サルバドールの朝」

実在の人物を描く事も、史実が主題であるのも別に悪いというわけではありません。
回想形式のドラマ構成も、銃撃戦の演出も、サブカルチャーの描写もどちらかと言えば手
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パッション・プレイ(2010年製作の映画)

1.0

「ベルリン・天使の詩」と「ナインハーフ」が懐かしい限りです ミッチ・グレイザー「パッション・プレイ」

鑑賞後、一時間もすれば観た事さえ忘れそうですが、日本未公開ですから一応調べて驚いたのは

製作費
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自由の幻想(1974年製作の映画)

4.3

この悪い冗談に翻弄されるのは(犠牲)ではなく喜ばしい(特権)です。ルイス・ブニュエル「自由の幻想」

ナンセンス自体に意味がないのだから面白ければそれでイイと普段は思ってますがナンセンス(純粋)である
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インドシナ(1992年製作の映画)

1.1

わたくし自身の中で評価とは異質の(あちら側)と(こちら側)の分断をかなり明確にさせてくれた92年公開のフランス映画の一本。30年近い年月が経過した今でもさしてその境界性に揺るぎはありません。
レジス・
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ナタリー(2011年製作の映画)

1.4

アメリも10年経てば・・・ ダヴィッド・フェンキノス「ナタリー」

平凡な人に平凡でない事が降りかかってもやはり時がたてば呆れるくらい平凡なまま、である人生が本当は望ましいのかもしれません。
ですから
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太陽(2005年製作の映画)

4.2

本作を堂々と「面白い!」と公言することを(菊タブー)に触れるなどと思う必要はありません アレキサンドル・ソク―ロフ「太陽」

今現在、世界の誰も観ることが出来ない(溝口健二サイレント映画)をはじめから
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.3

女優という(艶)に飢えてホークスを観る ハワード・ホークス「紳士は金髪がお好き」

今年のゴールデンウイークは暑すぎる日があったり、かと思えば全国で桁外れの強風で街路の樹木が根こそぎ倒れたり、と忙(せ
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

3.9

(映画)と言う名の疾走する自動車に同乗してみよう アキ・カウリスマキ「愛しのタチアナ」


荒野と言うほど出ないにしても、少なくとも殺風景であるのは間違いない場所の一本道に一台の車が疾走していく光景を
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白い花びら(1998年製作の映画)

3.9

カウリスマキは自身に未だに宿る「悲劇の不随」の根絶を図るべくこの作品と向き合っていたのではないでしょうか?アキ・カウリスマキ「白い花びら」

傑作「浮き雲」とこれまた傑作「過去のない男」の間に位置する
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待ち濡れた女(1987年製作の映画)

3.3

全ては雨のせい 上垣保郎「待ち濡れた女」

完成された作品が上出来、不出来という以前に出現した時代に封印された不幸な映画というのが存在します。
小沼勝「軽井沢夫人」柴田敏行「武蔵野心中」池田敏春「魔性
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愛なき女(1951年製作の映画)

3.9

出鱈目の大家あるいは爆笑の芸術家によるモーパッサン「ピエールとジュネ」の自由な映画翻案 ルイス・ブニュエル「愛なき女」

その異様な作品系譜の中でメキシコ時代は特に人騒がせなルイス・ブニュエルですが、
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彼女の人生は間違いじゃない(2017年製作の映画)

4.2

敵対する事さえ困難なコミュニティに射光しようとする廣木隆一の野心
「彼女の人生は間違いじゃない」

取り立てて気取った所のない痩身の瀧内公美が灰色の海を横目に職場である役所まで軽自動車で疾走する。
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パターソン(2016年製作の映画)

4.3

ジャームッシュが目を向ければ(街そのもの)が映画を模倣し始めるようです。
ジム・ジャームッシュ「パターソン」

20世紀末、メンフィスの街のホテルに土地の精霊の磁力で引き寄せられた人々を描いたジャーム
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ある過去の行方(2013年製作の映画)

4.8

アスガル・アルハーディー「ある過去の行方」は、もし観逃したままなら人生の大きな損失となる、そんな言葉を何の誇張も無く、堂々と言わしめる映画です。

同監督の「別離」を観た時(いかなる賛辞も追いつきよう
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.8

観ている私たちは、(彼女が消えた浜辺)という絶え間なく打ち続ける乾いた波に巻き込まれた時、他ならぬ私たち自身の人生でこれまで抱え込んできた(痛み)から逃げる術もなく、全身で受け止める事しか出来ない事実>>続きを読む

いつか読書する日(2004年製作の映画)

4.3

21世紀のファンタジーや恋愛描写は(いつか)を待ち続ける者が、その執着から解放された時に向こうから不意打ちを食らう切なさに裏付けられて初めて意味を持つ
緒方明「いつか読書する日」

人はいくら数多(あ
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海は燃えている イタリア最南端の小さな島(2016年製作の映画)

4.2

(1万5千人の溺死)ではなく(人ひとりの溺死が1万5千回)も生じたシチリア海峡を「映画の海」として掬い上げた。  土本典昭「海盗り 下北半島 浜関根」と同様、(海の映画)として記憶されるべき傑作  >>続きを読む

トータル・バラライカ・ショー(1994年製作の映画)

3.3

視覚的に描きようもない(音)が無くても成り立つ映画はあるかもしれないが(音のイメージ)が存在しない映画は成り立たない。
アキ・カウリスマキ『トータル・バラライカ・ショー』

「JFK」を担当したジョン
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ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

3.4

今、改めて観直せば、90年代始め(資本主義の勝利)とでも言いたげな欠陥商品のハリウッド大作に大きな風穴を開けるような爽やかさに溢れております。 アキ・カウリスマキ『ラブィ・ド・ポエーム』

その後
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接吻(2006年製作の映画)

4.3

その作家が撮らずにおられない題材に然るべき時の出逢った事から零れ落ちたような恐ろしさ 万田邦敏『接吻』

出逢いは残酷な悪意に満ちている。

その作品がその作家の作品系譜で最高傑作でないにしても
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

2.1

ひとまず私の中では・・・デビッド・フィンチャー『ドラゴン・タトゥーの女』

今回の鑑賞で一応、
『エイリアン3』から『ゴーン・ガール』まで全作品二回ずつ観ました。
ひとまず私の中では(いつの日かまた、
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灼熱の肌(2011年製作の映画)

3.9

このミニマリズムな画面空間から(必然)というものがこうも徹底的に奪われると、役者さん自身が演じる役柄と役者さん自身の肉体の隔たりに引き裂かれる際に表れる、役者さんの表情を捉える実験に立ち会っている錯覚>>続きを読む

パリ、恋人たちの影(2015年製作の映画)

4.7

全ては(多分)と言う言葉に収束される名付けようのない感情だけを武器にもはや喜劇と背中合わせの75分のバトル・ゴングが鳴ります フィリップ・ガレル「パリ、恋人たちの影」

面白すぎたジャック・ドワイヨン
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阿賀に生きる(1992年製作の映画)

5.0

老いるとは、進化を止める事でなく、純度が増す事。船大工・遠藤さんの手が物語る。
佐藤真『阿賀に生きる』

元舟大工の遠藤さんがかつての腕を買われて久しく使っていなかった道具を手入れするために作業場に入
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美しい星(2017年製作の映画)

3.9

三島由紀夫が大胆に換骨奪胎した「カラマーゾフの兄弟」の(大審問官の章)は今、日本で最も豊かな映画監督によって高らかに謳いあげられます。 
吉田大八「美しい星」

異星人の自覚に目覚めた橋本愛がカフェで
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愛の残像(2008年製作の映画)

4.5

フィリップ・ガレルの作品を初めて南フランスの小さな映画館で観た時、(物語)の細部まで理解出来なくとも、震える画面に戦(おのの)きました。絶対に日本では公開されないタイプの映画を撮る人に違いない、と思い>>続きを読む

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