映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

yahoo映画にもグダグダ感想を記してます。

神戸市北区在住

映画(703)
ドラマ(0)

最低。(2017年製作の映画)

4.3

何かが欠けていることで補い合う女たちの静かな連帯 
瀬々敬久「最低。」

主人公3人が関わるAV女優というもの。
「あんなこと」「へんなこと」などというセリフから(職業蔑視)などという世論の過剰反応を
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エルネスト(2017年製作の映画)

3.9

玄人の誇りに満ちた阪本順治「エルネスト もう一人のゲバラ」の挑発にのせられて

阪本順治が南米を舞台に映画を撮り始めたという報せを聞いたとき、
どれだけワクワクしたことか。

その思いをまずは先回りし
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無言歌(2010年製作の映画)

4.0

(祈り)を軽々と超えた(無)への渇望 ワン・ビン王兵「無言歌」

行き着く先は確実に(死)しか存在しないのに、まだ死ねないでいる晩秋の蟷螂たち。
皆が、あるいは右派と本気で戦う事を潔しとした者でさえ、
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揺れる大地(1948年製作の映画)

3.9

ルキノ・ヴィスコンティという名のふたつの船 「揺れる大地」

ヴィスコンティと言えば何故かふたりの船頭に手招きされているイメージが浮かびます。
そのどちらの船に招かれるかによってヴィスコンティが(純粋
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.3

どんな好物でも外食ばかりじゃ身が持たない。多少、嗜好から外れようとも手料理なら毎日、飽きずに食える。それがカウリスマキの味と言えると思うのです。
アキ・カウリスマキ「希望のかなた」

約20年前、テレ
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アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

4.5

泣けてきます。
出てきた瞬間、撃ち殺されてもイイからこんな映画に出演したい。役者志願だった若い頃を思い出させてくれます。
北野武「アウトレイジ 最終章」

二度目です。
今回は何の慈悲も受けずに一瞬で
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タイム・トゥ・ラン(2015年製作の映画)

3.0

ロバート・デ・ニーロの名を知ろうともロバート・デ・ニーロが何者なのかを知るために今一度、映画という一本道に残した彼の足あとを辿ってみたくなります。
スコット・マン「タイム・トゥ・ラン」

80年代の私
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フラワーズ・オブ・シャンハイ(1998年製作の映画)

4.0

清朝末期の上海。
遊郭室内の装飾品・そして官僚たちと遊女の悲喜こもごもの愛憎で完成された映画という名の万華鏡
候考賢『フラワーズ・オブ・シャンハイ』

原作が清末の花街の世相を描いた白話(口語体)モノ
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罪の手ざわり(2013年製作の映画)

3.1

方向感覚が喪失されたような現代中国の都市生活
ジャ・ジャンクー
『罪の手ざわり』

90年代はじめ、候考賢と書いてホウ・シャオシェン、
張芸謀と書いてチャン・イーモウ、
陳凱歌と書いてチェン・カイコー
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

5.0


彼・特有の気圧変化と、やくざ世界に生きる者なら必ず備えている高い温度との落差による衝動の嵐は30年ぶりに観直して止んでおりませんでした。

渡哲也演じる主人公・石川力夫の存在そのものが死んで当たり前
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.8

映画が大衆娯楽でも前衛芸術でもなくなり、いずれは消える(ぬかるみ)のような存在であったとしてもタランティーノは躊躇うことなく突っ込んできそうな勢いですね。

クエンティン・タランティーノ「デス・プルー
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お引越し(1993年製作の映画)

5.0

相米慎二「お引越し」は京都鴨川を、少女と女という谷間の窪地からこんこんと湧き出して出来上がったような美しい泉と化する。

1993年の三本軸ともいうべき日本映画
崔洋一「月はどっちに出ている」北野武「
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ドイツ零年(1948年製作の映画)

5.0

資金も愛情も展望も何もかもが不足する廃墟の町にひっそりと、確実に訪れる朝の悲劇 ロベルト・ロッセリーニ「ドイツ零年」

キャバレー女給の姉。
いつまでも立ち直れない元ナチ党員の息子へいらだつ老父。
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火星の女 /夢野久作の少女地獄(1977年製作の映画)

4.0

いかなる情欲の煩悩も跳ね返すような艶やかな黒髪の魅力
小沼勝『夢野久作の少女地獄』

数年前『火星の女』と原作のエピソードタイトルがパッケージに冠されDVDリリースされた時、それまで埋没されていたと思
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動脈列島(1975年製作の映画)

4.1

2年後に五輪を控えた今、こんなピカレスクを楽しんでみよう 増村保造『動脈列島』


例えば10年近く放り出され、もはや大根ひとつ切れそうにない刃でも強い毒を含んだもので研げばこびり付いた錆など簡単に
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曽根崎心中(1978年製作の映画)

4.4

洗い髪のまま夕涼みをする男女に込められた蠱惑(こわく)にも似た一途な眼差し
増村保造「曽根崎心中」

おそらくは寡黙さと誤解されかねない表現の簡素さ故か、あるいは近松(心中もの)という記号性故か、現代
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HYSTERIC(2000年製作の映画)

4.3

瀬々敬久の「HYSTERIC」はどんな冷たい河川を遡り、湖を渡っても冷えることのない熱風のような映画です。

まだ世慣れぬ千原ジュニアと小島聖が疾走すると、世慣れた熱風が却って勢いづくように画面全体の
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黒い下着の女 雷魚(1997年製作の映画)

4.6

これほどの(原始的な緊張)はどの国の映画史を細かく紐解いても、簡単に見つけられるものではありません。
瀬々敬久「黒い下着の女 雷魚」

椎間板ヘルニアと慢性膵炎を抱えながら不倫相手を探す人妻 佐倉萌
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.9

カスピ海近辺の空気で浄化され、ひとりの少年のひたむきさで適度な湿り気が加わり、観る者すべてに(ときめき)を与える奇跡の映画です。
アッバス・キアロスタミ「友だちのうちはどこ?」

本作で一気に有名にな
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カップルズ(1996年製作の映画)

4.2

エドワード・ヤンの『カップルズ』は、まさに火薬だけの炸裂を力頼みにして嵐の中に飛びだしていく散弾のような映画です。


その死後から10年以上経とうとも狙いは違わずに、ぶす、ぶす、という音と共に私たち
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ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.1

いかなる法則の類にも頼らずに回り続ける孤立した自転軸 
ロバート・アルトマン「ロング・グッドバイ」

ある周期で繰り返し観たくなる映画というもの。
それが出来上がった作品が傑作であるか、否か、とか
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大統領の理髪師(2004年製作の映画)

4.4

イム・チャンサンの「大統領の理髪師」には
めまいと息切れに往生しながら、やっとの思いで片丘を登りつめた者だけが見下ろす事が出来る、淡い展望というのがあります。

例えばいくら人並み以上に努力しても人並
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.2

大地がいくら揺れようが、観られた(時代)という揺れに波長を合わせていくように、微動だにしない映画もあります。 フランソワ・トリュフォー「大人は判ってくれない」


ある大病に見舞われた28年ほど前のち
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うつくしい人生(1999年製作の映画)

1.6

フランソワ・デゥペイロン「うつくしい人生」

「イプラヒムおじさんとコーランの花たち」と同様、この監督さんの目には観光地で売られている(絵葉書)と映画の(画面)が同じように映っているかも?という印象を
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ウィスキー(2004年製作の映画)

4.0

ファン・パブロ・レベ―ジャ&パブロ・ストールの「ウィスキー」は、どなたにも一度は訪れたに違いない(あり得たかもしれない、もう一つの人生)という言葉を、観ている私たちに今一度、想起させてくれる無視できな>>続きを読む

時雨の記(1998年製作の映画)

4.5

藤原定家ゆかりの地、時雨亭に静寂を濃度を増すように鐘が鳴り響いたとき、日本映画史上最も美しい不倫の貌が現れます。  澤井信一郎「時雨の記」

多くの人はその多感な10代後半から20代にかけて、リアルタ
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ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

4.5

サッカーW杯の対セネガル戦の余熱も醒めぬまま、アメリカ映画に飢えてペキンパーを観る サム・ペキンパー「ワイルドバンチ」

(アメリカン・ニューシネマ)というムーヴメントを追いかけるように観ていた筈の私
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ハメット(1982年製作の映画)

3.5

ひとりのドイツ人映画監督がアメリカ映画という名の墓標に供えた花は、いまだに枯れることなく、陰日向でそっと咲いているようです。
ヴィム・ヴェンダース『ハメット』'

真っ黒な画面にギターの弦を何かに擦ら
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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.1

足だけが持つ表情を、他ならぬ足そのものを断ち切る事で、唇や貌以上に、画面に響かせるブニュエルの偏愛 ルイス・ブニュエル「哀しみのトリスターナ」


表情を捉えるなら、顔や、声や、仕草を撮った方がよっぽ
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

5.0

「万引き家族」が称賛されている今こそ、「冬冬の夏休み」 が呈示する(映画)であることの神経過敏な境界線に触れてみよう

普通、映画は(映画好き)によって撮られている、と思います。

(思います)と述べ
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エバースマイル、ニュージャージー(1989年製作の映画)

3.9

たおやかな時間の流れも振り返れば疾走の渦中に居たようです。
カルロス・ソリン『エバー・スマイル・ニュージャージー』

日本公開は90年を過ぎたばかりの頃だと思います。
私は大阪 扇町ミュージアムという
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岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇(1997年製作の映画)

3.9

90年代は確実に(映画)を撮っていた彼に思いを馳せて 
三池崇史「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」

「Dead or a live」三部作や「漂流街」「オーディション」「天国から来た男たち」に特別
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ラヴ・パレイド(1929年製作の映画)

4.5

(隠れた名作)などと言う表現は固く禁じます エルンスト・ルビッチ「ラヴ・パレード」

陛下は如何にして性交を成功させるか?そんな主題に挑める作家なんて現在でも存在しない筈。
実際ルビッチが1920年代
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私の殺した男(1932年製作の映画)

4.3

(解放)か?いえ(開放)の魔術です。 エルンスト・ルビッチ「私の殺した男」

コメディが主流のルビッチ作品系譜ではいささか異質ですが既に「陽気な中尉さん」というとんでもない喜劇を発表し、後年(ドイツ生
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暗黒への転落(1949年製作の映画)

4.3

約70年前の映画をかくも新しく感じるという魔法 (太く短く生きて、キレイに死ぬ)まさにそんな映画です。ニコラス・レイ「暗黒への転落」

どんな芸術も時を味方にするのは難しい。
楽天主義が主流のような3
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夜の人々(1948年製作の映画)

3.9

ただ黙って夜のとばりの成り行きを見届けたくなる、そんな映画もございます。ニコラス・レイ「夜の人々」

多くの場合、初めて出会う人すべてと新たな知己を得るわけではないし、異性と出逢うたびに新しい恋に落ち
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