Gierck

荒野の女たちのGierckのレビュー・感想・評価

荒野の女たち(1965年製作の映画)
4.8
ジョン・フォード監督、ジョセフ・ラシェル撮影。
シャイアンもそうであるが、ジョン・フォードの描くどうしようもなく救いようのない話の映画であるが、どうしようもなく映像の世界に引きずり込まれる映画である。
ここでのフォードのカメラは、躍動感溢れる馬や騎兵隊のショットはなく、閉ざされた世界の内部に常にカメラが置かれており、女性たちの表情や仕草を捉えることに終始している。
フォード映画では、室内に馬が押し入ったり、教会に銃が持ち込まれたりと、本来あるべき境界線がいとも簡単に破られてしまい、その境界が破られる際に映像がさらに生き生きとするのであるが、「荒野の女たち」でもまた同様で、本来アメリカ人を標的にしないはずの、蛮族が意図も簡単に境界内部に押し入って来るのである。
蛮族のリーダーであるカンと、民族衣装を身にまとったアン・バンクラフトが、酒を飲むラストのショットは、フォード映画のみならず、映画史上でもベストのラストショットではないだろうか?
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