三樹夫

真夜中の刑事/PYTHON357の三樹夫のレビュー・感想・評価

真夜中の刑事/PYTHON357(1976年製作の映画)
3.5
不倫パパ活おじさんがカッとなって不倫相手のステファニア・サンドレッリを殺してしまった。証拠隠滅を図り誰にも見られないように部屋から出る。しかしステファニア・サンドレッリにはもう一人パパがいた。拳銃の腕はピカ一だがどこかさえないのび太みたいな独身の、のび太パパ活おじさんだ。しかものび太パパ活おじさんはステファニア・サンドレッリが殺された当日の日中一緒におり、殺害後の部屋にも入っていた。さらに不倫パパ活おじさんは署長、のび太パパ活おじさんは警部と同じ職場の人間だった。不倫パパ活おじさんはステファニア・サンドレッリとの関係を知っている妻に殺害してしまったことを相談したところ何も言うなという悪魔の囁きに従う。のび太パパ活おじさんは昼間ステファニア・サンドレッリと一緒にいる所を見られまくってるわ、部屋を訪れた際には外で手袋は落として帰るわ、またもや顔も目撃されてるわで、どう考えてもこのままだと自分が犯人と思われるどうしようと追い詰められる、という面白過ぎるプロット。
しかしおフランスのアンニュイな雰囲気が合体して何やら謎の映画に。これを90分ぐらいにタイトにまとめたらエンタメ度の高い娯楽作品になるんじゃないのと思って観ていたが既に作られているらしく、『追いつめられて』は同じ原作を元にした作品とのこと。

のび太パパ活おじさんはその場その場で思い付きの対処をしようとしてえらい方向へ進んでいくという、やっていることはもはやコントだった。明日証人一同が集まってモンタージュを作成となった時の、ヤベー顔見られたら俺が犯人て言われるじゃんからの驚愕の対処法は笑ってしまった。あれでノコノコ現れるのが最高に笑う。
『真夜中の刑事/PYTHON357』とすんごいハードアクション映画かと思わせておいて、最初の30分はのび太パパ活おじさんのダメな恋愛模様がひたすら続く。話が動き出してからも基本的にはゆったりしており、ただれた恋愛をすることの罰が降りかかるというような、パパ活おじさん達が四苦八苦する映画になっている。どうしようもない人達がどうしようもないことをして、どうしようもない末路を迎える。
主人公はガンマニアで弾の作成すら自分でやっているが、この映画はアクションよりもその他のことがメイン。それでもアクションシーンはあり、もの凄い強引なやり方で最後に大アクションをねじ込んでいた。おフランス感、脱力的なシュールなコミカルさ、散発的にいきなり始まるハードなアクションと、たけし映画を観ている時の雰囲気に近い。
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