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危険な関係のmat9215のレビュー・感想・評価

危険な関係(1959年製作の映画)
3.5
ロジェ・ヴァディムの映画は『バーバレラ』と『世にも怪奇な物語』(オムニバスの挿話)しか見たことがなかった。これは好印象。なんと言ってもジャンヌ・モローの性悪女が素晴らしい。同じ時期に撮られた『死刑台のエレベーター』は映画そのものも、ジャンヌ・モローのキャラクター設定も物足りない。三十代のジャンヌ・モローは性悪女を演じてこそ光輝く。1960年代の出演作は『突然炎のごとく』、『エヴァの匂い』、『天使の入江』、『マドモワゼル』、『黒衣の花嫁』などなど性悪女の目白押しだ。その後の『モンテ・ウォルシュ』では健気な歌姫で泣けた。本作では、中年の域に入った美青年ジェラール・フィリップの色魔ぶりもよろしい。ジャン=ルイ・トランティニャンの堅物大学生は微笑ましかった。大俳優たちの使い方を含め、ヴァディムの演出は意外と端正だった。当時の妻などの裸体を嘗めるように描くのはご愛敬。なお、演奏場面で登場する黒人ジャズマンたちは白人たちとは異なった異物感を放っている。フランス映画で有色人種が主要な登場人物として扱われるのはいつ頃からだったのだろうか。
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